【坪数別】あなたの屋根葺き替え費用は？坪数別の費用目安まとめ

屋根の葺き替えを検討しているものの、「自分の家の屋根葺き替え費用はいくらになるのだろう？」「費用相場や内訳が分からず不安…」と感じていませんか？この記事では、そんなあなたの疑問を解消し、屋根葺き替えの費用に関するあらゆる情報を網羅的に解説します。具体的には、20坪、30坪、40坪といった住宅の坪数別に屋根葺き替えの費用目安を詳しくご紹介するほか、スレート、ガルバリウム鋼板、日本瓦、アスファルトシングルといった主要な屋根材ごとの費用への影響も徹底比較。さらに、足場設置費用や既存屋根材の撤去処分費用、屋根の形状や勾配、付帯工事の有無など、費用を左右する様々な要因を明らかにし、複数の業者からの見積もり比較、補助金や助成金、火災保険の活用といった費用を安く抑える具体的な方法まで、余すことなくお伝えします。結論として、屋根葺き替えの費用は坪数や選ぶ屋根材、工事内容によって大きく変動しますが、この記事で得られる知識があれば、あなたの状況に合わせた最適な選択と、信頼できる屋根工事会社の選び方が明確になり、無駄なく賢い屋根リフォームを実現できるでしょう。

屋根葺き替え費用の全体像

屋根葺き替えの費用相場

屋根の葺き替えは、既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する大がかりな工事です。そのため、費用は屋根の面積（坪数）、選ぶ屋根材の種類、屋根の形状、足場の設置の有無、既存屋根材の処分費用など、さまざまな要因によって大きく変動します。

一般的に、屋根の葺き替えにかかる費用相場は、1坪あたり10万円〜25万円程度が目安とされています。ただし、これはあくまで全体の平均的な目安であり、具体的な費用は個別の状況によって大きく異なります。

例えば、一般的な戸建て住宅（30坪〜40坪程度）の場合、屋根の面積は約20坪〜30坪程度になることが多く、全体の費用としては100万円〜300万円以上になることも珍しくありません。特に、高機能な屋根材を選んだり、複雑な屋根形状であったりすると、費用は高くなる傾向にあります。正確な費用を知るためには、必ず専門業者による現地調査と見積もりが必要となります。

費用内訳の主な項目

屋根の葺き替え費用は、いくつかの主要な項目に分けられます。これらの内訳を理解することで、見積もり内容をより正確に把握し、適正な価格かどうかを判断するのに役立ちます。

これらの項目は、見積書に記載される費用の基本的な構成要素となります。各項目が具体的に何を示しているのかを理解し、不明な点があれば業者に確認することが重要です。特に、足場費用や既存屋根材の処分費用は、見積もり全体の大きな割合を占めることがあるため、詳細な説明を求めるようにしましょう。

坪数別 屋根葺き替えの費用目安

屋根の葺き替え費用は、屋根の面積（坪数）によって大きく変動します。ここでは、一般的な住宅で多い坪数ごとに、具体的な費用目安を提示します。ご自身の住宅の屋根面積と照らし合わせながら、おおよその費用感を把握する参考にしてください。

ただし、ここで示す費用はあくまで目安であり、屋根材の種類、屋根の形状、足場設置の有無、既存屋根材の撤去費用など、様々な要因によって変動することをご理解ください。正確な費用を知るためには、必ず専門業者からの見積もりが必要です。

20坪の屋根葺き替え費用

20坪の屋根は、延床面積が約25～30坪程度の比較的小規模な住宅に多く見られます。屋根の形状にもよりますが、一般的な20坪の屋根葺き替えにかかる費用は、約60万円～120万円程度が目安となります。

この費用には、既存屋根材の撤去処分費、新しい屋根材費、施工費、足場設置費などが含まれるのが一般的です。屋根材を安価なものに抑えたり、屋根の形状がシンプルな場合は費用を抑えられますが、高機能な屋根材や複雑な屋根形状の場合は高くなる傾向にあります。

30坪の屋根葺き替え費用

30坪の屋根は、延床面積が約35～45坪程度の一般的な戸建て住宅で最も多いサイズです。このサイズの屋根の葺き替え費用は、約90万円～180万円程度が相場となります。

屋根面積が広くなる分、使用する屋根材の量や施工にかかる人件費も増加します。また、屋根の形状が複雑な寄棟（よせむね）や入母屋（いりもや）の場合、施工の手間が増え、費用がさらに高くなる可能性があります。

40坪の屋根葺き替え費用

40坪の屋根は、延床面積が約50坪以上の比較的大きな住宅や、二世帯住宅などで見られることが多いサイズです。この規模の屋根葺き替えにかかる費用は、約120万円～240万円程度が目安となります。

屋根面積が広いため、屋根材の費用や施工期間、足場設置費用なども大きくなります。特に、耐震性や断熱性を高めるための追加工事を行う場合、費用はさらに上乗せされることを考慮に入れておきましょう。

その他坪数の屋根葺き替え費用

上記でご紹介した20坪、30坪、40坪以外の屋根面積の場合でも、費用は坪数に比例して変動する傾向があります。例えば、10坪程度の小さな屋根であれば40万円～80万円程度、50坪以上の大規模な屋根であれば150万円～300万円以上かかることもあります。

屋根葺き替えの費用は、「坪単価」で考えると、おおよその目安を把握しやすくなります。一般的な屋根葺き替えの坪単価は、使用する屋根材や工事内容にもよりますが、1坪あたり3万円～6万円程度が目安とされています。これに足場設置費用（一式15万円～30万円程度）や既存屋根材の撤去処分費用（1坪あたり5千円～1万円程度）などを加算して概算を出すことができます。

ご自身の屋根面積が不明な場合は、建物の延床面積からおおよその屋根面積を推測することも可能です。一般的に、屋根面積は延床面積の1.1～1.5倍程度になると言われています。正確な屋根面積を知るためには、専門業者に現地調査を依頼するのが最も確実です。

繰り返しになりますが、これらの費用はあくまで概算です。屋根の劣化状況、選択する屋根材、業者による見積もり、地域差など、多くの要因で最終的な費用は変動します。複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を確認することが、適正価格で工事を行うための重要なステップです。

屋根材の種類と屋根葺き替え費用への影響

屋根葺き替えの費用は、選ぶ屋根材によって大きく変動します。各屋根材にはそれぞれ特性があり、材料費だけでなく施工の手間や耐久性、メンテナンス頻度も異なるため、トータルコストに影響を与えます。ここでは、主要な屋根材ごとの特徴と、それに伴う葺き替え費用の目安を詳しく解説します。

スレート屋根の葺き替え費用

スレート屋根は、セメントと繊維を混ぜて作られた薄い板状の屋根材で、日本では「コロニアル」や「カラーベスト」といった商品名で広く普及しています。軽量でデザインが豊富、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。

しかし、定期的な塗装メンテナンスが必要であり、耐用年数は一般的に20～30年とされています。紫外線や雨風の影響で色褪せやコケ、カビが発生しやすく、ひび割れや欠けが生じることもあります。

スレート屋根の葺き替え費用は、他の屋根材と比較すると比較的リーズナブルに抑えられる傾向にあります。ただし、既存屋根材の撤去費用や足場費用は別途必要です。

※上記費用はあくまで目安であり、屋根の形状、勾配、地域、業者によって変動します。

ガルバリウム鋼板屋根の葺き替え費用

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンの合金でメッキされた鋼板で、軽量性、耐久性、耐震性に優れている点が特徴です。金属屋根特有のシャープなデザインも人気を集めています。サビに強く、耐用年数は25～40年と長く、メンテナンスの手間も比較的少ないため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

デメリットとしては、遮音性や断熱性が他の屋根材に比べて劣る場合があるため、遮音シートや断熱材を併用することで対策することが一般的です。また、傷がつくとサビの原因になることがあるため、丁寧な施工が求められます。

※上記費用はあくまで目安であり、屋根の形状、勾配、地域、業者、使用するガルバリウム鋼板の種類（断熱材一体型など）によって変動します。

日本瓦屋根の葺き替え費用

日本瓦（和瓦）は、粘土を焼成して作られる伝統的な屋根材で、非常に高い耐久性（半永久的とも言われる）、優れた断熱性・遮音性が特徴です。和風建築との相性が良く、重厚感のある美しい外観を保ちます。

しかし、屋根材自体が重いため、建物への負担が大きく、耐震性を考慮する必要があります。また、初期費用は他の屋根材に比べて高額になる傾向があります。近年では軽量化された瓦も登場しており、葺き替えの際に検討されることもあります。

※上記費用はあくまで目安であり、屋根の形状、勾配、地域、業者、瓦の種類（いぶし瓦、釉薬瓦、軽量瓦など）によって大きく変動します。特に複雑な屋根形状や特殊な瓦の場合、費用は高くなる傾向にあります。

アスファルトシングル屋根の葺き替え費用

アスファルトシングルは、ガラス繊維基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付けたシート状の屋根材です。軽量で柔軟性があり、防水性にも優れている点が特徴です。洋風建築との相性が良く、カラーバリエーションも豊富でデザインの自由度が高いです。施工も比較的容易なため、初期費用を抑えやすい屋根材の一つとされています。

耐用年数は20～30年程度とされていますが、強風に弱く、剥がれや浮きが発生することがあります。また、表面の石粒が剥がれて雨樋に詰まることや、コケ・カビが発生しやすいといったデメリットもあります。

※上記費用はあくまで目安であり、屋根の形状、勾配、地域、業者、使用するアスファルトシングルの種類によって変動します。

屋根葺き替え費用を左右するその他の要因

屋根葺き替えの費用は、屋根の坪数や選ぶ屋根材の種類によって大きく変動しますが、それ以外にも費用を左右する重要な要因がいくつか存在します。これらの要因を理解しておくことで、見積もり内容をより正確に把握し、予算計画を立てる上で役立ちます。

足場設置の費用

屋根葺き替え工事では、作業員の安全確保と効率的な作業のために、足場の設置がほぼ必須となります。足場は、高所での作業を安全に行うための仮設構造物であり、その設置・解体には専門的な技術と時間、そして費用がかかります。

足場設置の費用は、主に建物の外周の長さと高さ、そして設置期間によって決まります。一般的な戸建て住宅の場合、足場費用の相場は以下のようになります。

足場費用は、屋根葺き替え工事全体の費用の約10%～20%を占めることもあり、決して無視できない項目です。隣家との距離が極端に近い場合や、傾斜地での設置など、特殊な環境では追加費用が発生することもあります。足場は安全対策の要であるため、この費用を削ることは推奨されません。

既存屋根材の撤去処分費用

屋根葺き替え工事は、既存の屋根材をすべて撤去し、下地を点検・補修した上で新しい屋根材を設置する工法です。そのため、既存の屋根材の撤去と処分にかかる費用が発生します。この費用は、屋根材の種類や量、そしてアスベスト含有の有無によって大きく変動します。

特に注意が必要なのは、アスベスト（石綿）が含まれている可能性がある屋根材です。2004年以前に製造されたスレート屋根材などには、アスベストが使用されているものがあります。アスベスト含有建材の撤去・処分には、特別な資格を持った業者が、飛散防止対策を徹底して行う必要があり、その分費用が高額になります。

アスベストの有無は、専門業者による事前調査で確認できます。もしアスベスト含有が判明した場合は、必ず専門の知識と許可を持つ業者に依頼し、適切な処理を行うことが重要です。

屋根の形状や勾配

屋根の形状や勾配（傾斜の度合い）も、屋根葺き替え費用に大きく影響する要因です。

屋根の形状

屋根の形状が複雑であればあるほど、作業に手間がかかり、使用する材料（役物と呼ばれる棟板金や谷板金など）が増えるため、費用が高くなる傾向にあります。例えば、以下のような形状が挙げられます。

• 切妻屋根：最もシンプルな形状で、費用は比較的安価です。
• 寄棟屋根：四方に傾斜があり、切妻屋根よりは複雑になります。
• 入母屋屋根：和風建築に多く見られ、非常に複雑な構造のため、費用は高額になりがちです。
• 複雑な多角形屋根やドーマー（屋根窓）がある屋根：屋根の接合部や役物が多くなり、施工の手間が増えます。

棟（屋根の頂上部分）や谷（屋根面が交わる凹んだ部分）が多いほど、板金加工や防水処理に高度な技術と時間が求められ、費用が上昇します。

屋根の勾配

屋根の勾配が急であればあるほど、作業員の安全確保が難しくなり、作業効率が低下するため、人件費が高くなる傾向があります。急勾配の屋根では、作業員が滑り落ちないようにするための安全帯や足場の設置にも特別な配慮が必要となり、その分のコストが上乗せされることがあります。

• 緩勾配（3寸未満）：雨水の流れが悪くなるため、防水性能の高い屋根材を選ぶ必要があったり、下地処理に手間がかかる場合があります。
• 一般的な勾配（3寸～6寸）：多くの屋根材に対応でき、作業も比較的スムーズに行えます。
• 急勾配（6寸以上）：作業の危険度が増し、特殊な足場や安全対策が必要となるため、費用が高くなります。

見積もりを比較する際は、屋根の形状や勾配が費用にどう反映されているかを確認することも重要です。

付帯工事の有無

屋根葺き替え工事は、屋根本体の工事だけでなく、付帯する様々な工事が同時に行われることがあります。これらの付帯工事は、屋根の機能や美観を維持するために重要であり、費用に影響を与えます。

• 雨樋の交換・修理：既存の雨樋が劣化している場合や、屋根材の変更に合わせて交換が必要になることがあります。屋根工事と同時に行うことで、足場代を節約できるメリットがあります。
• 破風板・鼻隠しの補修・塗装・交換：屋根の端部にあるこれらの部材は、雨風にさらされやすく劣化しやすい箇所です。屋根工事の際に状態を確認し、必要に応じて補修や交換が行われます。
• 軒天の補修・塗装：軒の裏側にある軒天も、劣化が見られる場合は同時に補修や塗装を行うと効率的です。
• 天窓（トップライト）の交換・撤去・新設：天窓がある場合、屋根葺き替えの際に同時にメンテナンスや交換を行うのが一般的です。撤去して屋根を塞ぐ、あるいは新しく設置することも可能です。
• 太陽光パネルの脱着：太陽光発電システムが設置されている場合、屋根工事の前にパネルを一時的に取り外し、工事後に再度設置する費用が発生します。これは専門業者による作業が必要です。
• 雪止め金具の設置・交換：積雪地域では、雪止め金具の設置や既存金具の交換が同時に行われることがあります。
• 換気棟の設置：屋根裏の換気を促進し、結露防止や夏の暑さ対策に有効な換気棟を、葺き替え時に新設するケースもあります。

これらの付帯工事は、屋根工事とは別の費用として計上されますが、屋根工事と同時に行うことで、足場代の二重払いを避けられるため、結果的にトータルコストを抑えられる場合があります。見積もり時には、これらの付帯工事が必要かどうか、またその費用が明確に記載されているかを確認しましょう。

屋根葺き替え費用を安く抑える方法

屋根の葺き替えは、住宅の中でも特に高額な工事の一つです。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を効果的に抑えることが可能です。ここでは、屋根葺き替えの費用負担を軽減するための具体的な方法をご紹介します。

複数の業者から見積もりを取る

屋根の葺き替え費用を安く抑えるための最も基本的な方法は、複数の業者から相見積もりを取ることです。1社だけの見積もりでは、その価格が適正であるか判断することができません。

一般的に、3社以上の業者から見積もりを取得することが推奨されています。複数の見積もりを比較することで、各業者の費用体系、工事内容、使用する屋根材、保証内容などを客観的に評価し、適正な価格を見極めることができます。

見積もりを比較する際は、単に総額だけでなく、以下の点に注目しましょう。

• 費用内訳の明確さ：足場代、既存屋根材の撤去費用、新しい屋根材の費用、工事費、諸経費などが詳細に記載されているか。
• 使用する屋根材の種類とグレード：同じ種類の屋根材でもメーカーやグレードによって価格が異なります。
• 工期の長さ：工期が長すぎると人件費がかさむ可能性があります。
• 保証内容：工事後の保証期間や内容が明確か。
• 追加費用の有無：見積もり以外の追加費用が発生する可能性について説明があるか。

価格が安すぎる業者には注意が必要です。不必要な工事を省いたり、品質の低い材料を使用したりする可能性も考えられるため、価格だけでなく、信頼性や実績、担当者の対応なども総合的に判断することが重要です。

補助金や助成金の活用

屋根の葺き替え工事には、国や地方自治体が提供する補助金や助成金が適用される場合があります。これらの制度を上手に活用することで、工事費用の一部を賄うことができ、自己負担額を大幅に軽減できます。

補助金や助成金の対象となる工事は多岐にわたりますが、屋根葺き替えに関連する主な例としては、以下のようなものがあります。

• 省エネリフォーム補助金：断熱性能の高い屋根材への葺き替えや、屋根の断熱改修が含まれる場合。
• 耐震リフォーム補助金：屋根の軽量化を目的とした葺き替え（例：重い瓦屋根から軽いガルバリウム鋼板への変更など）で、家屋全体の耐震性が向上する場合。
• アスベスト撤去補助金：既存の屋根材にアスベストが含まれており、その撤去を伴う葺き替え工事の場合。
• 景観形成や住環境改善のための補助金：特定の地域で、景観保持や地域の活性化を目的としたリフォームが対象となる場合。

これらの補助金や助成金は、国（例：国土交通省関連の事業）と地方自治体（都道府県、市区町村）それぞれで募集されており、申請期間、対象となる工事、条件、予算などが異なります。また、募集期間が限定されている場合や、予算がなくなり次第終了となる場合も多いため、早めに情報収集を行うことが肝心です。

ご自身が居住する自治体のウェブサイトや窓口で、利用可能な補助金・助成金について確認するか、屋根工事を依頼する業者に相談してみましょう。専門業者であれば、補助金制度に詳しい場合も多く、申請手続きのアドバイスを受けられることもあります。

火災保険の適用可能性

屋根の葺き替え工事が火災保険の適用対象となるケースがあります。これは、単なる経年劣化によるものではなく、自然災害によって屋根が被害を受けた場合です。

具体的には、以下のような災害による屋根の損傷が火災保険の補償対象となる可能性があります。

• 風災：台風や突風による屋根材の飛散、破損、めくれなど。
• 雪災：大雪による屋根の積雪荷重での破損、雨樋の損傷など。
• 雹災：雹（ひょう）による屋根材の凹みや穴あきなど。
• 落雷：落雷による屋根や付帯設備の損傷。

これらの被害により屋根の葺き替えが必要となった場合、火災保険から保険金が支払われ、工事費用の一部または全額を賄える可能性があります。ただし、保険の契約内容によって補償範囲や免責金額が異なるため、ご自身の保険証券を確認することが重要です。

申請の流れは以下のようになります。

1. 被害状況の確認：屋根の被害状況を写真に撮るなどして記録します。
2. 保険会社への連絡：被害が発生したら速やかに保険会社に連絡し、申請手続きについて確認します。
3. 専門業者による調査と見積もり：屋根工事会社に被害状況を詳しく調査してもらい、修理や葺き替えの見積もりを作成してもらいます。
4. 保険会社による鑑定：保険会社が派遣する損害鑑定人が現場を調査し、被害状況や原因、保険適用可否を判断します。
5. 保険金の支払い：保険会社の審査が通れば、保険金が支払われます。

重要なのは、経年劣化による損傷は火災保険の対象外となる点です。また、災害発生から時間が経過しすぎると、被害と災害との因果関係が不明確になり、保険適用が難しくなる場合がありますので、被害に気づいたら早めに保険会社へ連絡するようにしましょう。

屋根葺き替え以外の選択肢と比較

屋根の劣化状況や予算に応じて、屋根葺き替え以外の選択肢として「屋根修理」と「屋根カバー工法」が挙げられます。それぞれの工法には特徴があり、ご自身の屋根の状態に最適な選択をすることが重要です。ここでは、各工法の詳細と費用、そして屋根葺き替えとの比較について詳しく解説します。

屋根修理との違いと費用

屋根のトラブルが発生した際、まず選択肢として頭に浮かぶのが「屋根修理」ではないでしょうか。しかし、屋根修理と屋根葺き替えは、その目的と工事の規模が大きく異なります。

屋根修理とは、屋根の一部に生じた損傷や劣化を部分的に補修する工事を指します。例えば、瓦のひび割れやズレ、漆喰の剥がれ、雨樋の破損、棟板金の浮きなど、特定の箇所に問題がある場合に適しています。全体的な劣化が軽度で、部分的な補修で十分機能が回復すると判断されるケースで選ばれます。

屋根葺き替えとの主な違い

• 工事範囲：屋根修理は部分的な補修、屋根葺き替えは屋根材の全面交換です。
• 費用：一般的に屋根修理の方が安価です。
• 工期：屋根修理の方が短期間で完了することが多いです。
• 目的：屋根修理は現状維持・機能回復を目的とするのに対し、屋根葺き替えは屋根全体の刷新・性能向上を目的とします。

屋根修理の費用相場

屋根修理の費用は、修理内容や範囲によって大きく変動します。以下に主な修理内容と費用目安を示します。

※上記費用はあくまで目安であり、屋根の状況や業者によって異なります。足場設置が必要な場合は、別途15万円～30万円程度の費用がかかることがあります。

屋根修理が適しているケース

• 屋根全体の劣化はまだ軽度で、部分的な損傷にとどまっている場合。
• 予算を抑え、緊急性の高い問題を解決したい場合。
• 築年数が比較的浅く、屋根材の耐用年数がまだ残っている場合。

屋根修理は手軽に実施できる反面、根本的な解決にはならないこともあります。劣化が広範囲に及んでいる場合や、屋根材全体の寿命が近い場合は、葺き替えやカバー工法を検討すべきでしょう。

屋根カバー工法との違いと費用

屋根カバー工法は、屋根葺き替えと屋根修理の中間に位置する工法として、近年注目を集めています。既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねて設置する工事です。

屋根葺き替えとの主な違い

• 既存屋根材の撤去：屋根カバー工法は既存屋根材を撤去しないのに対し、屋根葺き替えは既存屋根材を全て撤去します。
• 費用：既存屋根材の撤去費用や処分費用がかからないため、一般的に屋根カバー工法の方が葺き替えよりも安価です。
• 工期：撤去作業がないため、屋根カバー工法の方が工期が短いです。
• 屋根の重量：既存屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため、屋根全体の重量が増加します。
• 適用条件：既存屋根材の種類や劣化状況によっては、カバー工法が適用できない場合があります。

屋根カバー工法の費用相場

屋根カバー工法の費用は、使用する屋根材の種類や屋根の面積によって異なりますが、一般的に葺き替えよりも2割～4割程度安くなる傾向があります。

※上記費用は一般的な目安であり、屋根の形状、勾配、下地の状態、業者によって変動します。足場設置費用（15万円～30万円程度）は含まれていることが多いですが、見積もりで確認が必要です。

屋根カバー工法のメリット・デメリット

メリット

• 費用を抑えられる：既存屋根材の撤去・処分費用がかからないため、葺き替えよりもコストを削減できます。
• 工期が短い：撤去作業がない分、工事期間が短縮されます。
• 断熱性・遮音性の向上：屋根が二重になることで、断熱効果や遮音効果が高まることがあります。
• アスベスト飛散リスクの低減：既存屋根材にアスベストが含まれている場合でも、撤去しないため飛散リスクを抑えられます。

デメリット

• 屋根の重量増加：屋根材が二重になるため、建物への負担が増える可能性があります。特に軽量な屋根材を選ぶことが重要です。
• 下地の状態が確認できない：既存屋根材の下地の劣化状況を直接確認・補修できないため、将来的な問題発生のリスクが残る可能性があります。
• 適用できないケースがある：既存屋根材が瓦屋根のように重い場合や、下地の劣化が激しい場合、雨漏りが広範囲に及んでいる場合などは適用できません。カバー工法は主にスレート屋根やアスファルトシングル屋根に適しています。
• 将来的なメンテナンス：将来的に再度メンテナンスが必要になった際、既存屋根材と新しい屋根材の両方を撤去する必要があり、その際の費用が高くなる可能性があります。

屋根カバー工法が適しているケース

• 既存の屋根材がスレートやアスファルトシングルなど比較的軽量な屋根材である場合。
• 既存屋根材の下地に大きな損傷や雨漏りがない場合。
• 費用を抑えつつ、屋根の寿命を延ばしたい場合。
• 工事期間を短くしたい場合。

屋根工法別比較表

最後に、屋根葺き替え、屋根カバー工法、屋根修理の3つの工法を比較表でまとめました。ご自身の屋根の状態やご希望に合わせて、最適な工法を選ぶ際の参考にしてください。

信頼できる屋根工事会社の選び方

屋根の葺き替えは、費用も大きく、家の安全性や寿命にも直結する重要な工事です。そのため、信頼できる屋根工事会社を選ぶことが何よりも大切になります。安さだけを追求して悪徳業者を選んでしまうと、手抜き工事や追加費用の請求、保証がないなどのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。ここでは、後悔しない業者選びのために確認すべきポイントを詳しく解説します。

見積書で確認すべきポイント

屋根工事会社を選ぶ上で、最も重要な判断材料となるのが見積書です。複数社から見積もりを取り、その内容を徹底的に比較検討することが成功の鍵となります。不明瞭な点や疑問点は必ず契約前に解消しましょう。

見積書で特に確認すべきポイントを以下の表にまとめました。

特に、見積もり金額が極端に安い業者は、手抜き工事や後から追加費用を請求するケースがあるため注意が必要です。適正価格であるかどうかを判断するためにも、必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討してください。

実績と資格を持つ会社を選ぶ

屋根工事会社の信頼性を判断する上で、実績と保有資格は非常に重要な要素です。これらを確認することで、その会社が専門的な知識と技術を持っているか、そして責任を持って工事を行うかを見極めることができます。

豊富な施工実績と顧客の声

会社のウェブサイトやパンフレットで、過去の施工事例を確認しましょう。特に、ご自身の屋根材や形状に近い工事の実績が豊富にあるかどうかがポイントです。写真だけでなく、どのような工事を行ったのか、お客様の声や評価が掲載されているかどうかも確認すると良いでしょう。

また、自社で直接施工を行っているかどうかも重要です。下請けや孫請けに丸投げする業者では、中間マージンが発生して費用が高くなるだけでなく、責任の所在が不明確になることがあります。自社施工をアピールしている会社は、技術力に自信を持っている証拠とも言えます。

専門的な資格と許可

屋根工事に関する専門的な資格を持つ職人が在籍している会社は、信頼性が高いと言えます。代表的な資格には以下のようなものがあります。

• 屋根工事技士：屋根工事に関する高度な知識と技能を持つ国家資格です。
• 建築板金技能士：ガルバリウム鋼板などの金属屋根工事に特化した専門技能を証明する国家資格です。
• 瓦屋根工事技士：日本瓦など瓦屋根の専門的な知識と技術を持つ資格です。

また、建設業許可の有無も確認すべき点です。建設業法では、500万円以上の建設工事を行う場合、建設業許可が必要です。許可を得ている会社は、一定の経営基盤と技術力があると認められた企業であり、信頼性が高いと言えます。などで確認できます。

さらに、万が一の事故やトラブルに備えて、工事中の損害賠償保険に加入しているかどうかも確認しておくと安心です。保険加入の有無は、会社が責任感を持って事業を行っている証拠とも言えます。

これらの情報を総合的に判断し、安心して屋根の葺き替え工事を任せられる業者を選びましょう。

まとめ

本記事では、屋根葺き替えの費用について、坪数別の目安から、屋根材の種類、費用を左右する要因、そして費用を抑える方法まで幅広く解説しました。

屋根葺き替えの費用は、お住まいの坪数や選ぶ屋根材、屋根の形状、足場の要否、既存屋根材の撤去処分費用、付帯工事の有無など、多くの要素によって大きく変動します。そのため、「いくら」と一概に断定することはできません。

しかし、ご自身の状況に合わせた正確な費用を知るためには、複数の専門業者から見積もりを取ることが最も確実な方法です。相見積もりを通じて費用を比較検討し、補助金や助成金、火災保険の適用可能性も探ることで、費用負担を軽減できる可能性があります。

また、安心して工事を任せるためには、見積書の内容をしっかり確認し、実績と資格を持つ信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。安さだけで判断せず、工事の品質やアフターサービスも考慮に入れましょう。

屋根の葺き替えは、住まいを長持ちさせ、家族の安全と快適な暮らしを守るための大切な投資です。この記事で得た知識を活かし、納得のいく形で屋根の葺き替えを進めてください。

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この記事を書いた人

松井美月
（屋根リフォーム専門アドバイザー）

自社の屋根職人・施工管理者への取材内容をもとに、屋根カバー工法や葺き替えの正しい知識を発信。 実際の施工現場で培った経験をわかりやすくお伝えしています。