【20坪】屋根葺き替え工事｜屋根材や費用相場を徹底解説

「自宅の屋根が傷んできたけど、20坪の屋根葺き替え工事には一体いくらかかるんだろう？」

そうお悩みではありませんか？屋根の葺き替え工事は、決して安い買い物ではありません。高額な費用がかかるからこそ、正確な費用相場や内訳を知り、安心して信頼できる業者に依頼したいと考えるのは当然です。

この記事では、「20坪の屋根葺き替え」に特化し、主要な屋根材ごとの費用相場や、足場設置費用、既存屋根材の撤去処分費用、新しい屋根材の材料費、施工費用といった費用の内訳を徹底的に解説します。

さらに、ガルバリウム鋼板、スレート、日本瓦、アスファルトシングルなど、屋根材の種類が費用にどう影響するかを比較し、葺き替え工事のメリット・デメリット、カバー工法や屋根塗装との違い、工事の流れや期間、そして国や自治体が提供する補助金・助成金の活用方法まで、屋根葺き替えに関するあらゆる疑問を解消します。

この記事を読めば、20坪の屋根葺き替え工事にかかる費用相場の全体像を把握し、ご自宅に最適な屋根材を選び、信頼できる業者に安心して工事を依頼するための具体的な知識と判断基準が得られます。結果として、後悔のない屋根リフォームを実現するための確かな一歩を踏み出せるでしょう。

屋根葺き替え工事とは

屋根葺き替え工事とは、既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に葺き替える屋根リフォーム工法の一つです。屋根の劣化が激しい場合や、屋根の下地まで傷んでいる場合に選択されることが多く、屋根全体を新築同然の状態に刷新できます。単に見た目を新しくするだけでなく、屋根の防水性、耐震性、断熱性といった基本的な性能を大幅に向上させることが可能です。

屋根の寿命が尽きかけている場合や、大規模なメンテナンスが必要な場合に最適な選択肢であり、一度工事を行えば長期にわたって安心して暮らすことができます。既存の屋根材を撤去するため、屋根下地の状態を直接確認し、必要に応じて補修できる点も大きなメリットです。

屋根葺き替えの基本的な流れ

屋根葺き替え工事は、計画から完了までいくつかの重要なステップを経て行われます。ここでは、一般的な屋根葺き替え工事の基本的な流れを順を追って解説します。

葺き替え工事が必要な屋根の劣化症状

屋根の劣化は、放置すると建物の構造全体に影響を及ぼす可能性があります。以下のような症状が見られる場合、屋根葺き替え工事を検討する時期が来ているかもしれません。特に築年数が20年を超える屋根では、これらの症状が出やすくなります。

• 雨漏りが発生している
  屋根の最も深刻な劣化症状の一つが雨漏りです。天井にシミができたり、雨水が室内に侵入したりする場合、屋根材だけでなく防水シートや下地まで劣化している可能性が高く、葺き替え工事が必要となるケースが多いです。

• 屋根材のひび割れや欠けが多数見られる
  スレートや瓦などの屋根材に広範囲にわたるひび割れや欠けが見られる場合、防水性が低下し、雨水の浸入リスクが高まります。部分的な補修では対応しきれないほど劣化が進んでいる場合は、葺き替えが有効です。

• コケやカビが大量に発生している
  屋根材表面にコケやカビが大量に発生していると、屋根材が常に湿った状態になり、劣化を早めます。また、根が屋根材の内部に侵入し、素材自体を脆くすることもあります。

• 色あせや塗装の剥がれが著しい
  屋根材の表面保護層が紫外線や雨風によって劣化し、色あせや塗装の剥がれが目立つ場合、屋根材自体の耐久性が低下しているサインです。特にスレート屋根などで顕著に見られます。

• 屋根材のズレや浮き
  強風や経年劣化により、屋根材がズレたり浮いたりしている場合、そこから雨水が浸入しやすくなります。固定が緩んでいるだけでなく、下地の劣化が原因であることも考えられます。

• 屋根下地の腐食やたるみ
  屋根裏から下地（野地板など）を確認できる場合、木材の腐食やたるみが見られることがあります。これは雨水が屋根材の下に浸入し、構造材にまで影響が及んでいる深刻な状況であり、葺き替え工事で下地の全面的な補修が必要です。

これらの劣化症状は、屋根の寿命が近づいている明確なサインです。早期に専門業者に相談し、適切な診断と対策を行うことが、建物の健全性を保つ上で非常に重要となります。

【20坪】屋根葺き替え工事の費用相場

20坪の屋根葺き替え工事は、住宅の規模としては比較的小さな部類に入りますが、決して安価な工事ではありません。屋根の広さだけでなく、使用する屋根材の種類、既存屋根材の撤去処分方法、建物の形状、劣化状況など、さまざまな要因によって費用は大きく変動します。ここでは、20坪の屋根葺き替え工事にかかる費用の総額と内訳、そしてアスベスト含有屋根材の場合の特別な費用について詳しく解説します。

20坪の屋根葺き替え費用の総額と坪単価

20坪の屋根葺き替え工事にかかる費用は、総額で100万円～250万円程度が一般的な相場とされています。これは、既存の屋根材がスレートやガルバリウム鋼板、アスファルトシングルなどの場合を想定した目安です。日本瓦のような重い屋根材の場合や、屋根の形状が複雑な場合は、さらに費用が高くなる傾向にあります。

坪単価で考えると、屋根面積1坪あたり5万円～12万円程度が目安となります。ただし、この坪単価は屋根材の種類や工事内容によって大きく変動するため、あくまで参考としてください。特に、屋根材のグレードや機能性（遮熱性、防音性など）によって材料費が大きく変わる点が特徴です。

以下に、代表的な屋根材ごとの20坪の屋根葺き替え費用相場と坪単価の目安をまとめました。

※上記はあくまで目安であり、既存屋根材の種類、下地の状態、建物の立地条件、業者によって費用は変動します。

屋根葺き替え費用の内訳を徹底解説

屋根葺き替え工事の費用は、いくつかの項目に分けられます。それぞれの内訳を理解することで、見積もりの内容をより正確に把握し、適正な価格かどうかを判断できるようになります。

足場設置費用

屋根工事は高所作業を伴うため、作業員の安全確保と効率的な作業のために足場の設置が義務付けられています。足場設置費用は、建物の外周を囲むように設置するため、屋根面積ではなく建物の外周の長さや高さによって決まります。

20坪程度の一般的な住宅の場合、足場設置費用は約15万円～30万円程度が相場です。この費用には、足場の組み立て・解体費用、運搬費用などが含まれます。建物の形状が複雑な場合や、隣家との距離が近く特別な足場が必要な場合は、費用が割高になることがあります。

既存屋根材の撤去処分費用

葺き替え工事では、まず既存の屋根材をすべて撤去する必要があります。この撤去と処分にかかる費用も重要な内訳の一つです。費用は、既存の屋根材の種類や量、アスベストの有無によって大きく異なります。

一般的な屋根材（スレート、ガルバリウム鋼板など）の撤去処分費用は、1坪あたり5,000円～15,000円程度が目安です。20坪の屋根であれば、約10万円～30万円程度を見込むと良いでしょう。瓦屋根の場合は、重量があるため撤去作業に手間がかかり、費用が高くなる傾向にあります。また、撤去した屋根材は産業廃棄物として適切に処分する必要があり、その運搬費や処分費も含まれます。

新しい屋根材の材料費用

新しい屋根材の材料費用は、葺き替え工事の費用の中でも大きな割合を占めます。選ぶ屋根材の種類によって、費用は大きく変動します。主な屋根材の材料費用の目安は以下の通りです。

• ガルバリウム鋼板： 1坪あたり5,000円～15,000円程度
• スレート（コロニアル/カラーベスト）： 1坪あたり6,000円～18,000円程度
• アスファルトシングル： 1坪あたり5,000円～15,000円程度
• 日本瓦（和瓦）： 1坪あたり8,000円～25,000円程度

同じ種類の屋根材でも、メーカーや製品のグレード、機能性（遮熱、防音など）によって価格差があります。長期的な視点で見ると、初期費用だけでなく、耐久性やメンテナンス費用も考慮して屋根材を選ぶことが重要です。

施工費用と人件費

施工費用と人件費は、実際に屋根を葺き替える職人の手間賃や技術料です。これには、屋根材の運搬、設置、加工、仕上げなどの作業全般が含まれます。費用は、屋根の形状（複雑さ）、勾配（傾斜）、選んだ屋根材の施工難易度によって変動します。

一般的な20坪の屋根葺き替え工事における施工費用と人件費は、総額で50万円～100万円程度が目安となります。例えば、日本瓦のように一枚一枚手作業で葺く必要がある屋根材は、施工に時間がかかり人件費が高くなる傾向があります。一方、ガルバリウム鋼板のように比較的軽量で施工しやすい屋根材は、人件費を抑えられる場合があります。

下地補修費用や付帯工事費用

屋根葺き替え工事では、既存の屋根材を撤去した際に、その下の野地板やルーフィング（防水シート）の劣化が判明することがあります。これらの下地が傷んでいる場合は、雨漏り防止や屋根全体の耐久性確保のために補修や交換が必要となり、追加費用が発生します。

• 野地板の補修・交換： 傷み具合によって異なりますが、部分補修で数万円、全面交換で10万円～30万円程度
• ルーフィング（防水シート）の交換： ほとんどの葺き替え工事で新しいものに交換しますが、材料費と施工費が含まれます。

また、屋根工事と同時に行うことで効率が良い付帯工事も費用に含まれることがあります。主な付帯工事は以下の通りです。

• 雨樋の交換： 劣化している場合は、足場があるうちに交換するのが効率的です。費用は10万円～30万円程度。
• 雪止め設置： 地域によっては雪止めが必要で、屋根材と同時に設置します。費用は数万円～10万円程度。
• 棟板金や谷板金の交換： 既存のものが劣化している場合、新しい屋根材に合わせて交換します。

これらの費用は、見積もり段階では「一式」として計上されることもありますが、詳細な内訳を確認することが重要です。特に下地補修費用は、既存屋根材を撤去するまで正確な金額がわからない場合があるため、予備費として見積もりに含めてもらうことを検討しましょう。

アスベスト含有屋根材の葺き替え費用

既存の屋根材にアスベスト（石綿）が含まれている場合、葺き替え工事の費用は大きく変動します。アスベストは、過去に多くの屋根材（特にスレート材）に使用されていましたが、健康被害が明らかになったため、現在では使用が禁止されています。アスベスト含有建材の撤去には、厳格な法規制と専門的な処理が必要となります。

アスベスト含有屋根材の葺き替え費用が高くなる主な理由は以下の通りです。

1. アスベスト含有調査費用： 工事前に専門業者によるアスベスト含有調査が必要です。費用は数万円～10万円程度。
2. 飛散防止対策費用： 撤去作業中にアスベストが飛散しないよう、養生や作業員の防護服着用など、厳重な飛散防止対策が必要です。
3. 特別管理産業廃棄物としての処分費用： アスベスト含有建材は「特別管理産業廃棄物」に指定されており、通常の産業廃棄物よりも処分費用が大幅に高額になります。

これらの追加費用により、アスベスト含有屋根材の撤去処分費用は、通常の屋根材と比較して1坪あたり1万円～3万円程度高くなる傾向があります。20坪の屋根の場合、総額で20万円～60万円程度の追加費用が発生する可能性があります。アスベストの有無は、建物の建築時期や既存屋根材の種類からある程度推測できますが、最終的には専門業者による調査で判断されます。アスベスト含有が疑われる場合は、必ず専門業者に相談し、適切な見積もりと安全な工事計画を立ててもらいましょう。

アスベストに関する情報や法規制については、環境省のウェブサイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。

環境省「アスベスト対策について」

屋根材の種類と【20坪】葺き替え費用への影響

屋根の葺き替え工事費用は、選択する屋根材によって大きく変動します。それぞれの屋根材が持つ特性（耐久性、デザイン、重量、メンテナンス性など）が費用に影響を与えるため、ご自身の住まいや予算、求める機能に合った屋根材を選ぶことが重要です。ここでは、主要な屋根材ごとの特徴と、20坪の屋根葺き替え工事における費用相場を詳しく解説します。

ガルバリウム鋼板の特徴と費用

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金でメッキされた鋼板で、近年非常に人気の高い屋根材です。その最大の魅力は、軽量でありながら高い耐久性と耐震性を誇る点にあります。また、デザインの自由度が高く、モダンな外観から和風まで幅広い住宅にマッチします。

• 特徴：非常に軽量で建物への負担が少ないため、耐震性に優れます。錆びにくく、長期間にわたって美観を保ちやすいのも特徴です。断熱材一体型の商品もあり、断熱性向上も期待できます。
• 耐久性：約25年～40年
• メンテナンス：定期的な塗装は不要ですが、表面の傷やへこみには注意が必要です。
• 【20坪】葺き替え費用相場：ガルバリウム鋼板の葺き替え費用は、材料費と施工費を含めて約100万円～180万円が目安となります。高機能な断熱材一体型やデザイン性の高いものは費用が高くなる傾向があります。

スレート屋根材の特徴と費用

スレート屋根材（コロニアル、カラーベストなど）は、セメントと繊維を混ぜて作られた薄い板状の屋根材です。比較的安価で軽量なため、日本の住宅で広く普及しています。カラーバリエーションが豊富で、様々なデザインの住宅に合わせやすいのが特徴です。

• 特徴：軽量で耐震性に優れ、コストパフォーマンスが高いのが魅力です。ただし、表面の塗装が劣化すると防水性が低下するため、定期的なメンテナンス（塗装）が不可欠です。
• 耐久性：約20年～30年（ただし、10年程度での塗装メンテナンスが推奨されます）
• メンテナンス：色褪せやコケの発生を防ぎ、防水性を維持するために、約10年ごとの塗装メンテナンスが必要です。
• 【20坪】葺き替え費用相場：スレート屋根材の葺き替え費用は、材料費と施工費を含めて約80万円～150万円が目安となります。既存屋根材がアスベストを含有している場合は、撤去処分費用が別途高額になる可能性があります。

日本瓦の特徴と費用

日本瓦（和瓦、洋瓦）は、粘土を焼いて作られる伝統的な屋根材です。非常に高い耐久性と断熱性を持ち、重厚感のある美しい外観が特徴です。一度設置すれば、メンテナンスの手間がほとんどかからないという大きなメリットがあります。

• 特徴：瓦自体の耐久性が高く、メンテナンスフリーに近い状態を保てます。断熱性や遮音性にも優れています。ただし、屋根材自体が非常に重いため、建物への負担が大きく、耐震性を考慮した構造が必要となります。
• 耐久性：約50年～100年以上
• メンテナンス：瓦の割れやズレ、漆喰の補修は必要ですが、塗装などの大規模なメンテナンスは不要です。
• 【20坪】葺き替え費用相場：日本瓦の葺き替え費用は、材料費と施工費を含めて約150万円～250万円と、他の屋根材に比べて高額になる傾向があります。これは、瓦自体の材料費が高いことに加え、施工に高い技術と手間がかかるためです。

アスファルトシングルの特徴と費用

アスファルトシングルは、ガラス繊維基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付けたシート状の屋根材です。軽量で柔軟性があり、防水性にも優れているのが特徴です。デザインも豊富で、個性的な屋根を演出できます。

• 特徴：非常に軽量で、建物への負担が少ないため耐震性に優れます。シート状で加工しやすいため、複雑な屋根形状にも対応可能です。石粒による滑り止め効果もあり、雨音を吸収する遮音性も期待できます。
• 耐久性：約20年～30年
• メンテナンス：強風による剥がれや、コケ・カビの発生に注意が必要です。定期的な点検と必要に応じた補修が推奨されます。
• 【20坪】葺き替え費用相場：アスファルトシングルの葺き替え費用は、材料費と施工費を含めて約90万円～160万円が目安となります。

屋根材別の費用比較表

20坪の屋根葺き替え工事における主要な屋根材の費用相場と特徴を比較表にまとめました。ご自身の予算や求める性能に合わせて、最適な屋根材を選ぶ際の参考にしてください。

屋根葺き替え工事のメリットとデメリット

葺き替え工事の主なメリット

屋根の葺き替え工事は、単に既存の屋根材を新しいものに交換するだけでなく、住まい全体の機能性や安全性を大幅に向上させる多くのメリットがあります。最も大きなメリットは、屋根全体を新築同然の状態にリフレッシュできる点です。

まず、屋根材だけでなく、その下の防水シート（ルーフィング）や野地板といった下地まで点検・補修・交換ができるため、雨漏りの根本原因を解消し、長期的な防水性を確保できます。これは、部分的な補修や屋根塗装では対応できない、下地の劣化が進行している場合に特に有効です。

次に、屋根材の選択肢が広がることも大きなメリットです。例えば、重い瓦屋根から軽量なガルバリウム鋼板に葺き替えることで、建物の耐震性を向上させることができます。また、断熱材一体型の屋根材や遮熱塗料が施された屋根材を選ぶことで、夏の暑さや冬の寒さを軽減し、住まいの断熱性・遮熱性を高め、省エネ効果も期待できます。これにより、光熱費の削減にも繋がる可能性があります。

さらに、屋根のデザインや色を一新することで、建物の外観イメージを大きく変え、資産価値を高めることも可能です。古くなった屋根を最新の機能性を持つ屋根材にすることで、美観と機能の両面で満足度の高いリフォームが実現します。アスベスト含有の屋根材を使用している場合は、葺き替え工事によって安全に撤去・処分できるため、健康リスクの解消にも繋がります。

葺き替え工事の主なデメリット

屋根の葺き替え工事には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを事前に理解しておくことで、後悔のない工事計画を立てることができます。

最も大きなデメリットは、他の屋根リフォーム工法と比較して費用が高額になる点です。既存の屋根材を撤去・処分する費用、新しい屋根材の材料費、施工費用、足場設置費用など、全ての工程で費用が発生するため、初期投資が大きくなります。特に20坪の屋根であっても、使用する屋根材や下地の状態によっては総額が大きく変動する可能性があります。

次に、工事期間が長くなることもデメリットの一つです。既存屋根材の撤去から下地補修、新しい屋根材の設置まで、多くの工程を要するため、一般的に数日から2週間程度の工期が必要となります。この間、足場が設置され、騒音や粉塵が発生するため、日常生活に一時的な影響が出る可能性があります。

また、既存の屋根材を撤去するため、大量の廃材が発生します。これらの廃材は産業廃棄物として適切に処分する必要があり、その処分費用も工事費用に上乗せされます。特に、既存の屋根材がアスベストを含有している場合は、特殊な撤去方法や処分が必要となるため、追加費用が発生し、工期も長くなる傾向があります。

さらに、工事中は屋根が一時的に開いた状態になるため、天候の影響を受けやすいという側面もあります。急な雨や強風などにより、工事が中断したり、雨仕舞いが不十分な状態で放置されるリスクもゼロではありません。信頼できる業者選びが非常に重要になります。

葺き替え以外の選択肢を比較する

屋根の劣化状況やご予算、求める効果によっては、葺き替え工事以外の選択肢も有効です。ここでは、主な屋根リフォーム工法である「カバー工法」と「屋根塗装」について、葺き替えとの違いや費用を比較しながら詳しく解説します。

カバー工法との違いと費用

カバー工法は、「重ね葺き」とも呼ばれ、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねて設置する工法です。葺き替え工事に比べて工期が短く、費用を抑えられる点が大きなメリットです。

カバー工法のメリット：

• 費用を抑えられる：既存屋根材の撤去費用や処分費用がかからないため、葺き替えよりも総額を抑えられます。
• 工期が短い：既存屋根材の撤去作業がない分、工事期間を短縮できます。
• 断熱性・遮音性の向上：屋根が二重になることで、断熱効果や遮音効果が高まる傾向があります。
• アスベスト飛散リスクの低減：アスベスト含有の既存屋根材の場合でも、撤去しないため飛散リスクを抑えられます。

カバー工法のデメリット：

• 屋根の総重量が増加：既存屋根材の上に新しい屋根材を重ねるため、屋根全体の重量が増加します。建物の耐震性に影響を与える可能性があるため、軽量なガルバリウム鋼板などがよく選ばれます。
• 下地の補修が限定的：既存屋根材の下地まで劣化が進んでいる場合、カバー工法では根本的な補修ができません。
• 既存屋根材の種類に制限：瓦屋根など、既存屋根材の種類によってはカバー工法が適用できない場合があります。
• 将来的な撤去費用：将来的に再度リフォームを行う際、二重になった屋根材を両方撤去する必要があるため、その際の費用は高くなる可能性があります。

20坪の屋根におけるカバー工法の費用相場：

20坪の屋根でカバー工法を行う場合の費用相場は、約80万円～150万円程度が目安となります。使用する屋根材の種類や既存屋根の状態によって変動します。葺き替え工事と比較すると、約20万円～50万円程度安くなるケースが多いです。

カバー工法が適しているケース：

既存屋根材の劣化が表面的なものにとどまり、下地まで大きな損傷がない場合や、アスベスト含有屋根材で撤去費用を抑えたい場合に有効な選択肢です。ただし、屋根の重量増加による耐震性への影響を考慮し、軽量な屋根材を選ぶことが重要です。

屋根塗装との違いと費用

屋根塗装は、既存の屋根材の表面に塗料を塗布することで、美観を回復させ、防水性や耐久性を向上させるメンテナンスです。葺き替えやカバー工法と比較して、最も費用を抑えられる選択肢ですが、屋根材自体の構造的な劣化を改善するものではありません。

屋根塗装のメリット：

• 費用が安い：他の工法に比べて初期費用が最も安く済みます。
• 工期が短い：数日で完了するケースが多く、工事期間が短いです。
• 美観の回復：色褪せた屋根が新築時のように美しくなります。
• 屋根材の保護：塗膜が屋根材を保護し、防水性や防カビ・防藻効果を高めます。

屋根塗装のデメリット：

• 耐久年数が短い：塗料の種類にもよりますが、一般的に10年～15年程度で塗り替えが必要です。
• 構造的な劣化は改善できない：屋根材のひび割れや反り、下地の損傷など、構造的な劣化は塗装では修復できません。
• 適用できないケースがある：屋根材の劣化が激しい場合や、すでに雨漏りが発生している場合は、塗装だけでは不十分です。
• 断熱性・遮音性の改善は限定的：遮熱塗料を使用すれば一定の効果は期待できますが、葺き替えやカバー工法ほどの断熱性・遮音性の向上は見込めません。

20坪の屋根における屋根塗装の費用相場：

20坪の屋根で屋根塗装を行う場合の費用相場は、約30万円～80万円程度が目安となります。使用する塗料の種類（アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機など）によって大きく変動します。特に、高耐久なフッ素塗料や無機塗料を選ぶと費用は高くなります。

屋根塗装が適しているケース：

屋根材の劣化が表面的な色褪せやコケの発生にとどまり、ひび割れや破損、雨漏りなどの構造的な問題がない場合に適しています。定期的なメンテナンスとして、屋根材の寿命を延ばしたい場合にも有効です。

屋根葺き替え工事の流れと期間

工事開始から完了までのステップ

屋根の葺き替え工事は、お客様が業者に問い合わせてから工事完了、引き渡しに至るまで、いくつかの明確なステップを経て進行します。各ステップを理解しておくことで、工事全体をスムーズに進め、予期せぬトラブルを避けることができます。

具体的な工事の流れは以下の通りです。

1. 問い合わせ・現地調査・見積もり提出： まずは専門業者に連絡し、屋根の状況を確認してもらうための現地調査を依頼します。業者は屋根の劣化状況、面積、勾配などを詳しく調査し、最適な屋根材の提案とともに詳細な見積もりを提出します。

2. 契約・工事内容の最終確認： 見積もり内容に納得したら、業者と工事請負契約を締結します。この際、工事期間、使用する屋根材、費用の内訳、保証内容などを再度確認し、不明な点がないようにしましょう。

3. 近隣への挨拶： 工事開始前には、騒音や車両の出入りなどでご迷惑をおかけする可能性があるため、業者と一緒に近隣住民の方々へ挨拶回りを行います。これにより、近隣トラブルを未然に防ぐことができます。

4. 足場の設置： 安全かつ効率的に作業を行うため、建物の周囲に足場を組みます。足場は職人の安全確保だけでなく、作業効率や品質にも直結する重要な工程です。

5. 既存屋根材の撤去・処分： 古い屋根材をすべて撤去します。撤去された屋根材は適切に分別され、専門業者によって処分されます。アスベスト含有屋根材の場合は、特別な手順と費用が発生します。

6. 下地の確認・補修： 既存の屋根材を撤去した後、屋根の下地（野地板など）の状態を詳細に確認します。腐食や破損が見られる場合は、新しい屋根材を設置する前に補修や交換を行います。

7. 防水シート（ルーフィング）の設置： 屋根の下地が整ったら、その上に防水シート（ルーフィング）を敷き詰めます。この防水シートは、万が一屋根材の下に雨水が浸入しても、建物内部への浸水を防ぐ非常に重要な防水層となります。

8. 新しい屋根材の設置： 防水シートの上に、選定した新しい屋根材を葺いていきます。屋根材の種類によって施工方法は異なりますが、軒先から棟へと順番に丁寧に設置していきます。

9. 棟板金などの役物設置： 屋根材の設置が完了したら、棟（屋根の頂点）やケラバ（屋根の端）などの部位に、雨水の浸入を防ぐための板金や役物を取り付けます。

10. 足場の解体・清掃： 全ての屋根工事が完了したら、設置していた足場を解体します。その後、工事で出たゴミや破片などをきれいに清掃し、周囲を整理整頓します。

11. 最終点検・引き渡し： 業者による最終点検が行われ、お客様も一緒に仕上がりを確認します。問題がなければ、工事完了となり引き渡しとなります。この際、保証書を受け取ることを忘れないようにしましょう。

20坪の屋根葺き替えにかかる期間

20坪程度の屋根葺き替え工事にかかる期間は、様々な要因によって変動しますが、一般的には7日から14日程度が目安となります。ただし、これはあくまで一般的な期間であり、以下の要素によって前後することがあります。

• 屋根材の種類： 瓦屋根からガルバリウム鋼板への変更など、屋根材の種類によって施工にかかる時間や手間が異なります。特に瓦屋根の撤去は時間がかかる傾向にあります。
• 天候： 雨や強風などの悪天候時は作業を中断せざるを得ないため、工事期間が延長されることがあります。
• 屋根の劣化状況： 下地の腐食が激しい場合や、補修が必要な箇所が多い場合は、その分だけ工期が長くなります。
• 職人の人数： 投入される職人の人数によって、作業の進捗速度が変わります。
• 付帯工事の有無： 雨樋の交換や外壁塗装など、屋根工事と同時に他の工事を行う場合は、その分期間が長くなります。

屋根材の種類ごとの20坪の屋根葺き替え工事期間の目安は以下の通りです。

これらの期間はあくまで目安であり、最終的な工事期間は現地調査に基づいた見積もり時に業者から提示される具体的な工程表で確認することが最も重要です。工事期間中は、天候による延期なども考慮し、余裕を持ったスケジュールで計画を立てることをおすすめします。

信頼できる業者選びのポイント

屋根の葺き替え工事は、専門知識と技術が必要な大がかりなリフォームです。そのため、信頼できる業者を選ぶことが、工事の成功と費用対効果を最大化する上で最も重要だと言えます。ここでは、優良業者を見極めるためのポイントと、複数見積もりを比較する重要性について詳しく解説します。

優良業者の見分け方

悪質な業者に騙されたり、手抜き工事をされたりしないためには、いくつかのポイントを押さえて業者を選ぶ必要があります。以下の点に注目して、慎重に業者を選定しましょう。

豊富な実績と専門性

屋根工事の実績が豊富で、特に20坪規模の葺き替え工事の経験がある業者を選びましょう。実績は、その業者の技術力や信頼性を測る重要な指標です。過去の施工事例をホームページやパンフレットで確認したり、具体的な工事内容や期間について質問したりすることで、専門性を判断できます。

建設業許可と各種資格の有無

建設業法に基づく「建設業許可」を取得している業者は、一定の経営基盤と技術力があると認められています。また、建築士や施工管理技士といった国家資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも確認しましょう。これらの資格は、専門知識と技術の裏付けとなります。

丁寧な説明と詳細な見積もり

工事内容や費用について、専門用語を避け、分かりやすく丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。疑問点に対して誠実に答えてくれるかどうかも重要です。見積もり書は、材料費、施工費、足場費用、撤去処分費など、内訳が詳細に記載されているかを確認してください。一式表記ばかりの見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあるため注意が必要です。

アフターフォローと保証制度

工事完了後のアフターフォローや保証制度が充実しているかも重要なポイントです。万が一、工事後に不具合が発生した場合でも、迅速かつ適切に対応してくれる業者であれば安心です。保証期間や保証内容について、事前に書面で確認しておきましょう。

損害賠償保険への加入

工事中に万が一の事故（例えば、屋根材が落下して隣家に損害を与えた、作業員が怪我をしたなど）が発生した場合に備え、損害賠償保険に加入している業者を選びましょう。保険に加入していれば、予期せぬトラブルにも対応でき、施主の負担が軽減されます。

地域での評判や口コミ

インターネットの口コミサイトや地域情報誌、知人からの紹介など、第三者からの評判や口コミも参考になります。ただし、口コミは個人の主観が入りやすいため、あくまで参考情報として捉え、最終的にはご自身の目で確かめることが大切です。

複数見積もりで費用を比較する重要性

屋根の葺き替え工事は高額になるため、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は必須です。相見積もりを行うことで、費用相場を把握し、適正価格で工事を依頼できるだけでなく、各業者の提案内容や対応を比較検討できます。

適正価格の把握と費用交渉

複数の見積もりを比較することで、20坪の屋根葺き替え工事の費用相場を正確に把握できます。これにより、提示された価格が適正かどうかを判断しやすくなり、不当に高額な見積もりや、安すぎるために手抜き工事が懸念される見積もりを避けることができます。また、他社の見積もりを基に、費用交渉を行う余地が生まれる場合もあります。

工事内容と提案の比較検討

業者によって、使用する屋根材の種類、工法、追加提案（下地補修、雨樋交換など）が異なる場合があります。複数の見積もりを比較することで、それぞれの業者がどのような工事を提案しているのか、最もご自身の希望や屋根の状態に合った提案はどれかを慎重に検討できます。

業者の対応と信頼性の見極め

見積もりを依頼した際の担当者の対応や、質問への回答の丁寧さ、見積もり提出のスピードなども、業者選びの重要な判断材料となります。複数の業者と接することで、より信頼できると感じる業者を見つけやすくなります。

見積もり比較のポイント

複数見積もりを比較する際は、単に総額だけでなく、以下の項目を総合的に比較検討することが重要です。

これらのポイントを踏まえ、最低でも3社以上から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。焦らずじっくりと業者を選び、納得のいく葺き替え工事を実現しましょう。

屋根葺き替えで利用できる補助金や助成金

屋根の葺き替え工事は高額になることが多いため、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。これらの制度は、住宅の省エネ化、耐震性の向上、防災対策などを目的としており、屋根の改修工事も対象となる場合があります。

国が実施する主な補助金・助成金制度

国が実施する補助金制度は、特定の目的（省エネ、耐震、長期優良住宅化など）に特化していることが多く、屋根葺き替え工事単体が直接の対象となるケースは限定的です。しかし、住宅全体の改修工事の一部として、または省エネ性能向上や耐久性向上を目的としたリフォームの一環として、屋根葺き替えが間接的に対象となる場合があります。

代表的な制度としては、以下のようなものが挙げられます。

これらの制度は、毎年内容や予算が変更されることがあります。また、申請には複雑な条件や書類が必要となるため、必ず最新の情報を確認し、専門家や施工業者と相談することが重要です。

自治体（市区町村）が実施する補助金・助成金制度

地方自治体（都道府県や市区町村）は、地域の実情に応じた様々な補助金・助成金制度を実施しています。国の制度に比べて、より直接的に屋根葺き替え工事を対象とするケースも多く、活用しやすい場合があります。

一般的な自治体の補助金・助成金の種類と、屋根葺き替え工事との関連性は以下の通りです。

お住まいの自治体で利用できる制度は、各自治体のウェブサイトで「住宅リフォーム」「補助金」「助成金」「屋根改修」などのキーワードで検索することで確認できます。また、自治体の窓口や、地域の住宅関連団体に問い合わせるのも有効です。

補助金・助成金を利用する際の注意点

補助金や助成金は非常に魅力的な制度ですが、利用する際にはいくつかの重要な注意点があります。これらを事前に把握しておくことで、スムーズな申請と確実な受給につながります。

まず、多くの補助金・助成金は「工事着工前の事前申請」が必須となります。工事を始めてしまってからでは申請できないケースがほとんどですので、必ず事前に情報収集を行い、申請手続きを完了させてから工事に取り掛かるようにしましょう。

次に、制度ごとに「対象となる工事内容」「対象となる住宅の条件」「申請者の条件」が細かく定められています。例えば、築年数や建物の構造、世帯所得、居住状況などが条件となることがあります。これらの条件を一つでも満たさない場合、申請は却下されてしまいますので、必ず詳細を確認してください。

また、予算や申請期間に限りがある点も注意が必要です。特に人気の高い制度は、予算が早期に上限に達して受付が終了したり、申請期間が短く設定されていたりすることがあります。早めの情報収集と準備が成功の鍵となります。

複数の補助金・助成金を検討している場合、「他の制度との併用が可能か」も確認すべき点です。国と自治体の制度、または複数の自治体制度で、併用が認められないケースも少なくありません。重複受給を避けるためにも、必ず確認しましょう。

最後に、申請手続きには専門的な知識や書類作成が必要となる場合があります。施工業者の中には、補助金・助成金の申請サポートを行っているところもありますので、信頼できる業者に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くお勧めします。

まとめ

20坪の屋根葺き替え工事は、住まいの寿命を延ばし、快適性と安全性を高める上で非常に重要なリフォームです。この記事では、20坪の屋根葺き替えにかかる費用相場、費用の内訳、主要な屋根材の種類とその特徴、メリット・デメリット、そして信頼できる業者選びのポイントまで、多岐にわたって解説してきました。

結論として、20坪の屋根葺き替え費用は、選択する屋根材（ガルバリウム鋼板、スレート、日本瓦、アスファルトシングルなど）の種類、既存屋根の劣化状況、足場の要否、アスベストの有無、そして依頼する業者によって大きく変動します。そのため、「いくら」と断言することはできませんが、本記事で提示した費用相場や内訳を参考に、ご自身のケースに当てはめて検討することが大切です。

費用を抑えつつ質の高い工事を実現するためには、複数の専門業者から相見積もりを取り、それぞれの見積もりの内容（材料費、施工費、諸経費など）を詳細に比較検討することが不可欠です。また、国や自治体で利用できる補助金や助成金制度についても積極的に情報収集し、活用を検討することで、費用負担を軽減できる可能性があります。

屋根葺き替え工事は決して安い買い物ではありませんが、適切な時期に信頼できる業者に依頼することで、長期的に見て住まいの価値を守り、安心で快適な暮らしを維持することに繋がります。この記事で得た知識を活かし、ご自身の住まいに最適な選択をしてください。

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この記事を書いた人

松井美月
（屋根リフォーム専門アドバイザー）

自社の屋根職人・施工管理者への取材内容をもとに、屋根カバー工法や葺き替えの正しい知識を発信。 実際の施工現場で培った経験をわかりやすくお伝えしています。