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瓦の葺き替え工事の費用相場と失敗しない基礎知識を屋根材別に全解説
瓦の葺き替え工事は住宅リフォームの中でも非常に高額な工事になります。瓦の葺き替え工事を検討するキッカケは施主様によって異なると思いますが、築30年〜50年の住宅に圧倒的に多いです。
瓦屋根には日本瓦とセメント(モニエル)瓦の2つの種類が存在します。
日本瓦とセメント瓦は形状が酷似しているため同じ屋根材と思っている方も多いと思いますが、瓦の葺き替え時期や葺き替え工法が全く異なるのでしっかりと理解をして臨むことが重要です。
また、屋根の葺き替え工事は業者によって施工単価が大幅に異なり、同じ工事であっても50万円〜100万円の価格差が生じるケースも少なくありません。
屋根の葺き替え工事の費用相場をしっかりと理解をして業者を選ぶことが瓦の葺き替え工事を施工せる最大の秘訣です。
この記事では瓦の葺き替え工事の費用相場を中心に、瓦の葺き替え工事で失敗しない基礎知識について具体的に解説します。
日本瓦やセメント瓦といった瓦の種類別に葺き替え工事の詳細な費用相場についてまとめているので、これから瓦の葺き替え工事を初められるれる方は是非、参考にして頂ければと思います。
瓦の葺き替え工事の費用
瓦には日本瓦」と「セメント瓦」の二つの種類があります。
日本瓦は粘土を主原料とする瓦で半永久的に使用することができます。一方で、セメント化瓦はセメントを主原料とする屋根材で10年に1度を目安に屋根塗装が必要な瓦です。
日本瓦とセメント瓦は形状が非常に似ており素人目では判断することが非常に難しいですが、耐用年数が大きく異なり、葺き替え工法も異なります。
ここでは瓦の葺き替え工事の全体像を理解するために、瓦の葺き替え工事の費用と、施工単価相場、屋根材の単価相場について具体的に見て行きましょう。
瓦の葺き替え工事の費用
瓦の葺き替えの種類 |
30坪 |
40坪 |
50坪 |
日本瓦(セメント瓦)→ガルバリウム鋼板 |
150万円〜200万円 |
180万円〜250万円 |
210万円〜290万円 |
日本瓦(セメント瓦)→日本瓦 |
170万円〜220万円 |
210万円〜280万円 |
240万円〜320万円 |
日本瓦の葺き直し |
70万円〜100万円 |
80万円〜120万円 |
90万円〜130万円 |
※屋根の形状・劣化症状によって価格は変動します。 |
日本の戸建て住宅でもっとも多い、30坪前後の住宅の瓦の葺き替え費用は150万円〜200万円ほどが中心価格帯になります。
瓦の葺き替え工事ではガルバリウム鋼板が使用されるのが現在の主流です。
ガルバリウム鋼板は金属製の屋根材ですが、日本瓦の1/10も軽量な屋根材です。瓦屋根からガルバリウム鋼板に葺き替えることで、屋根が大幅に軽くなり建物の耐震性能が構造します。
そのため、瓦の葺き替え工事ではガルバリウム鋼板に葺き替えらるのが主流で、その際の費用相場は150万円〜200万円が中心価格帯になります。
瓦の葺き替え工事の施工単価の相場
見積もり項目 |
施工単価 |
概算費用(屋根面積99㎡で算出) |
仮設足場 |
800円〜1,500円/㎡ |
79,200円〜148,500円 |
既存屋根材の撤去・解体 |
2,000円〜2,500円/㎡ |
198,000円〜247,500円 |
野地板の施工 |
1,500円〜2,000円/㎡ |
148,500円〜198,000円 |
ルーフィング(防水シート)の施工 |
800円〜2,000円/㎡ |
79,200円〜99,000円 |
屋根材本体と施工費 |
※屋根材の種類によって異なる |
※屋根材の種類によって異なる |
付帯部工事(棟板金、漆喰など) |
15万円〜20万円 |
15万円〜20万円 |
管理費・諸経費 |
工事金額の5%〜8% |
工事金額の5%〜8% |
※単価相場は屋根の劣化症状によって変動します。
※単価相場は業者によって変動します。 |
瓦の葺き替え工事の費用は、「既存の屋根材の撤去費用」や屋根の土台となる「野地板」、瓦の防水機能の「ルーフィング」などの施工単価を合計して算出されます。
そのため、見積もり金額の妥当性を判断するためには、各施工単価が相場価格の範囲内であることを確認することが重要です。
瓦の葺き替え工事の見積書をもらったら、見積もり価格だけではなく、各見積もり項目が適正価格であることを確認することが重要です。
瓦の葺き替え工事の屋根材の単価相場
屋根材 |
施工単価 |
概算費用(屋根面積99㎡で算出 |
日本瓦 |
8,000年〜12,000円 |
792,000円〜990,000円 |
ガルバリウム鋼板 |
6,000年〜8,000円 |
594,000円〜792,000円 |
※施工単価は業者によって変動するのでご注意ください。 |
瓦の葺き替え工事は「ガルバリウム鋼板」「日本瓦」で単価相場が異なります。ガルバリウム鋼板は6,000円〜8,000円が施工単価の相場価格になります。一方で、日本瓦は8,000円〜12,000円が単価相場です。
日本瓦の方がガルバリウム鋼板よりも材料費が高額なため、瓦の葺き替え工事の費用が高額になることを理解しておきましょう。
瓦の葺き替え工事の時期と種類
瓦には「日本瓦」と「セメント瓦」の2つの種類があります。
それぞれ、適切なメンテナンス時期や葺き替え工法が異なるため、適切な葺き替え時期や葺き替え工法について理解を深めておくことが重要です。
日本瓦とセメント瓦のそれぞれの、葺き替え工事の時期と種類について見て行きましょう。
日本瓦の葺き替え工事の種類と工法
日本瓦の葺き替え工法は従来の葺き替えの他に、葺き直しと呼ばれる既存の瓦を再利用する葺き替え工法があります。
そもそも、日本瓦は粘土を主原料とする屋根材で耐用年数(耐久性)が80年〜100年と長期的なのが特徴です。そのため、経年劣化を理由に日本瓦を葺き替える必要はありません。
しかし、屋根内部の防水シート(ルーフィグ)は経年劣化で、「破れ」や「縮れ」などが生じるようになります。
この防水シートを交換するために、既存の瓦を撤去し、防水シートを交換後、撤去した積み直す「葺き直し」と呼ばれるメンテナンスを行います。
雨漏り修理や防水シートの交換のメンテナンスを目的とする場合は、「葺き直し」によるメンテンスが一般的です。
一方で、建物の耐震性の向上や、老朽化した建物の負担を軽減するなど、目的がある場合は日本瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えが効果的です。
このように日本瓦の屋根の葺き替えは従来の屋根の葺き替え工法の他に、「葺き直し」という既存の瓦を再利用する葺き替え工法もあることを理解しておきましょう。
セメント瓦(モニエル瓦)の葺き替え工事の種類と工法
セメント瓦(モニエル)瓦は屋根材の耐用年数が経過する30年〜40年を目安にガルバリウム鋼板に葺き替えられるのが一般的です。
セメント瓦はセメント主原料とする屋根材で、塗装により防水性能を確立しています。そのため、10年に1度を目安に再塗装によるメンテナンスが必要になります。
しかし、耐用年数が経過したセメント瓦に屋根塗装をすると、「塗装後、すぐに塗料が剥がれる」「塗装が水ぶくれのように膨れる」などの施工不良の原因になります。
また、日本瓦と同様に屋根内部の防水シートも経年劣化で「破れ」や「縮れ」などの不具合が生じるため、セメント瓦は屋根材の耐用年数が経過する30年〜40年を目安に葺き替え工事を行うのが一般的です。
セメント瓦は日本瓦にも葺き替えることができますが、建物の耐震性能や建物の老朽化を考慮して、ガルバリウム鋼板に葺き替えるのが一般的です。
瓦の葺き替え工事の屋根材の種類
瓦の葺き替え工事で使用される屋根材は「ガルバリウム鋼板」が圧倒的に多いです。
しかし、ガルバリウム鋼板は金属屋根のため「安っぽく見える」「和風住宅には合わない」などの理由から、日本瓦に葺き替える施主様も少なくありません。
屋根材選びで後悔しないように瓦の葺き替え工事で使用されることの多い、「ガルバリウム鋼板」と「日本瓦」の特徴について見て行きましょう。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は「亜鉛」と「アルミ」の合金メッキがされた金属屋根です。瓦の葺き替え工事で主流となっている屋根材です。
耐用年数が40年〜50年と長期的なだけではなく、メンテナンスフリーの屋根材として、将来的なメンテナンス費用が発生しないのが最大の特徴です。
また、日本瓦の1/10も軽いため、瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えるだけで、建物の耐用年数が大幅に向上します。
ただし、基本的にガルバリウム鋼板は金属板のため建物の美観を重視する施主様にとっては物足りなく感じてしまうかもしれません。
施工単価は高いですが、瓦タイプのガルバリウム鋼板も普及しているため、耐震性と美観性を両立させたい方は、瓦タイプのガルバリウム鋼板も検討してみましょう。
日本瓦
日本瓦は古来から屋根材として普及してきて日本人にとってなじみ深い屋根材です。
日本瓦は粘土を主原料とした屋根材で、耐用年数が80年〜100年と長期的なのが最大の特徴です。
遮熱性能や防音性能にも優れており、付加価値の高い屋根材ですが、屋根材の中でも重量があり耐震性能が低いのがデメリットでもあります。
瓦の葺き替え工事では、ガルバリウム鋼板が主流になりましたが、日本瓦にこだわりのある施主様も多く根強い人気のある屋根材です。
瓦の葺き替え工事の注意点
瓦の葺き替え工事は住宅リフォームの中でも高額なジャンルになります。訪問販売業者にも狙われやすく、必要の無い葺き替え工事を提案される事例も少なくありません。
実際に弊社にご相談頂いた内容として、相場価格よりもはるかに高額だったり、日本瓦屋根で「葺き直し」で十分メンテナンスができる内容であっても、強引にガルバリウム鋼板への葺き替え工事を提案された事例を目の当たりにしてきました。
そこで、ここからは瓦の葺き替え工事で失敗しないために知っておくべき瓦屋根修理の注意点について見て行きましょう。
訪問販売業者に依頼しない
「瓦がズレていますよ」「無料で点検しましょうか?」と、突然自宅訪問してきて、屋根の点検を提案されても絶対に屋根に上らせてはいけません。
これは訪問販売業者の典型的な手口であり、葺き替え工事などの高額な工事を提案されるのが一般的な流れです。
実際は葺き替え工事の必要の無い場合も多く、見積もり価格も高額になる傾向にあるため、訪問販売業者の提案は鵜呑みにせずに、屋根修理の専門業者に再度、現地調査を依頼した方が安全です。
相場価格よりも高額な場合は相見積もりをする
瓦の葺き替え工事は大手リフォーム会社や工務店、屋根工事専門業者など様々な業者が対応することができます。
瓦の葺き替え工事を依頼する業者によって、施工単価が異なり見積価格が異なります。そのため、見積もり価格が相場よりも高額だった場合、必ず複数の業者で相見積もりをすることをオススメします。
まとめ
いかがでしたか?瓦の葺き替え工事についてご理解頂けたかと思います。瓦の葺き替え工事は業者によって施工単価が異なるため、自宅の屋根材の相場価格を確認するようにしましょう。