東京都大田区でトタン瓦棒(かわらぼう)屋根の葺き替え工事を施工させて頂きました。 トタン屋根は築年数40〜50年の木造住宅に普及率の高い金属の屋根材です。 トタンは別名亜鉛メッキ鋼板と呼ばれており、表面の亜鉛メッキが芯材(鉄)よりも早く錆びることで、耐久性を確立している素材です。 しかし、トタン屋根の錆は「このままじゃ雨漏りがしますよ」と訪問販売業者に指摘されることも多く、不適切なタイミングで、不必要なリフォームを行ってしまう施主様も少なくありません。 今回の施工事例は、雨漏りが発生したトタン屋根の葺き替え工事の事例ですが、トタン屋根の葺き替え工事のタイミングや具体的な劣化症状について解説しているので、これからトタン屋根の修理を検討されている方は、ぜひ参考にして頂ければと思います。
お問い合わせの経緯
二階の天井にうっすらと雨染みが広がったことがキッカケで修理を検討されていました。
雨漏りの原因をしっかりと調査をして確実に修理ができる業者を探していた際に、偶然弊社のホームページをご覧になり興味を持って頂きました。
散水調査やサーモグラフィー調査(赤外線調査)などの雨漏りに特化した現地調査を実施しており、建物の設計や構造に関する国家資格の、建築士の資格保有者も在籍していることから、雨漏りに修理に修理に関する信頼性を感じて頂き、現地調査のご依頼を頂きました。
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ビフォーアフター
経年劣化で屋根全体に錆びが広がっていました。錆により穴が空いている箇所から雨水が侵入し、雨漏りが発生していました。
既存のトタン屋根をガルバリウム鋼板に葺き替えて雨漏りが再発することのない根本的な修理を行いました。
既存のトタン屋根は塗料により防水性能を保っているため、10年に1度を目安に再塗装が必要です。
一方で、ガルバリウム鋼板は錆に強く屋根塗装の必要がありません。
また、ガルバリウム鋼板は耐用年数も40年〜50年と長期的なため費用対効果の高い屋根リフォームを実現できます。
雨水が侵入していた錆で穴が空いた箇所です。後ほど詳しく説明しますが、屋根の内部のルーフィングシート(防水シート)も劣化している状態でした。
屋根材を新しく、葺き替えることで、ルーフィングシートも交換できるため雨漏りが再発するリスクを限りなくゼロにする確実な修理を実現することができました。
屋根葺き替え工事をご提案させて頂いた理由
お問い合わせ後、すぐに現地調査を行い、屋根の劣化症状を確認させて頂きました。
トタン瓦棒の屋根ですが、築年数35年が経過しており、経年劣化で錆が発生していました。一部、腐食して穴が空いている箇所があり、ジワジワと雨水が屋根の内部に侵入している状態でした。
雨漏りは屋根材の劣化だけではなく、屋根内部のルーフィングシート(防水シート)に破れなどの不具合が発生しているため、表面の屋根材だけでなく、屋根内部のルーフィングシートも交換する必要があります。
屋根の構造や雨漏り修理に精通していない業者の場合、屋根塗装や部分補修で修理をすることも多いですが、雨漏りが再発する可能性があるため、雨漏りは原因を確実に突き止めて、根本的な修理をすることが大切です。
そのため、ガルバリウム鋼板への葺き替え工事をご提案させて頂きました。
ガルバリウム鋼板は既存のトタン屋根と同様に金属の屋根材ですが、耐用年数が40年〜50年と非常に長期的なのが特徴です。
また、錆ない屋根材(メンテナンスフリー)として屋根塗装の必要が無く、将来的なメンテナンス費用を大幅に節約できるのが最大の特徴です。
このように屋根をガルバリウム鋼板に葺き替えることで、根本的な雨漏り修理を実現できるだけでなく、費用対効果の高い屋根リフォームも実現できます。
後日談ではありますが、雨漏りもピタッと止まり、「屋根修理プラスさんにお願いして良かった」と、施主様も大変喜ばれていたのが印象的でした。
屋根の劣化症状と現地調査の様子
ここからは具体的に屋根の劣化症状と現地調査の様子について見て行きましょう。 屋根の劣化症状は屋根に上がらなければ確認することができません。 トタン屋根の劣化症状を確認できる機会は多くはありません。 そのため、築年数35年のトタン屋根の劣化症状と現地調査の様子を写真で詳しく解説します。
大屋根のトタン瓦棒屋根の様子です。経年劣化で屋根全体に錆が発生している状態でした。
トタン屋根は塗装により防水性能を確立しているため、10年1度を目安に屋根塗装が必要です。
屋根塗装を行わないと、次第に屋根全体に錆が発生して、屋根材に穴が空いたり、屋根の内部に雨水が染み出すようになります。
今回の屋根も前回のメンテナンスから20年以上経過していたため、屋根全体に錆が発生して、屋根材に穴が開くことで、雨水が屋根の内部に侵入していました。
ただし、トタン屋根の耐用年数は25年〜30年前後のため、屋根を新しく葺き替える最適なタイミングでもありました。
前回の屋根塗装から20年以上が経過していたことと、トタンの耐用年数も経過していたこともあり、屋根の劣化が進行しやすい状態でした。
築年数30年が経過したトタン屋根にも屋根塗装を行うこともありますが、耐用年数が経過したトタン屋根に塗装をすると、「施工後、すぐに塗装が剥がれた」「塗装が水ぶくれのように膨れてきた」などの、施工不良が発生するリスクが高まります。
そのため、耐用年数が経過したトタン屋根はガルバリウム鋼板に葺き替えるのが一般的なメンテナンス方法です。
トタン屋根は別名、「瓦棒(かわらぼう)」とも呼ばれています。
トタン屋根は等間隔で瓦棒と呼ばれる角材が施工されています。この角材にトタン板を釘を打ち付けて固定をします。
この瓦棒は木材のため、トタンが劣化して屋根の内部に雨水が侵入すると腐食するようになります。
瓦棒の角材が腐食すると、強風や台風で屋根材が捲れたり、悲惨する危険があるため、屋根塗装のタイミングなどで定期的な点検を行うようにしましょう。
トタンの瓦棒部分が腐食して穴が空いている状態です。
雨漏りの原因になっている劣化箇所ですが、トタンを固定している瓦棒も腐食しているため、根本的な修理が必要な状態でした。
こちらは別の箇所の瓦棒の穴あき箇所です。
瓦棒が腐食をして、内部の角材が腐食して空洞になっており、屋根面よりも脆くなっているため、穴が空きやすくなっています。
屋根の軒先部分の劣化症状です。
ここまで見てきた全体写真と同様に屋根面、瓦棒ともに錆が発生しています。
また、経年劣化で既存の塗料が剥がれてトタンの芯材(鉄)が剥き出しになっている箇所があります。
屋根のケラバ(屋根の端)のトタンが捲れています。
トタンを固定している釘も錆びて抜け落ちており、過去の強風で捲れてしまっていました。
これは非常に危険な状態で早急に修理をする必要がありました。
屋根の葺き替え工事の工程と施工中の様子
ここからは屋根の葺き替え工事の施工工程と施工中の様子について見て行きましょう。 屋根の葺き替え工事は古い屋根を新しい屋根に張り替える屋根リフォームですが、重要なポイントがいくつかあります。 また、施工事例の内容が見積書にも反映されるため、簡単に施工事例を理解しておくことで、屋根葺き替え工事の見積もりの理解が深まります。 それでは、具体的に屋根の葺き替え工事の施工中の様子について見て行きましょう。【工程1】既存のトタン屋根の撤去
まず始めに、既存のトタン屋根を撤去・解体します。
既存のトタンを撤去しました。トタンの屋根材は薄い金属の板です。瓦棒の釘を抜くと簡単に取り外すことができます。
こちらはトタン屋根の瓦棒です。雨水が侵入して瓦棒がボロボロに腐食しています。
屋根塗装によってトタン表面をメンテナンスしても、瓦棒が腐食していると、トタンが飛散してしまう恐れがあるため、トタン屋根のメンテナンスの際は、瓦棒の状態もしっかりと点検することが重要です。
トタンを剥がしたら、瓦棒も撤去します。
瓦棒は野地板と呼ばれる屋根の土台に固定されているため、釘を抜いて瓦棒を取り外していきます。
既存のトタン屋根の撤去が完了しました。
トタン屋根を撤去する際に穴が空いた箇所もありますが、築年数35年が経過をして既存の防水シートも破れている箇所が多々ありました。
【工程2】野地板(コンパネ)の施工
既存のトタン屋根を撤去したら新しいガルバリウム鋼板屋根を施工します。 新しい屋根の土台となる野地板を施工しました。
屋根に張られている木材板が野地板です。屋根葺き替え工事の見積書ではコンパネと記載されることもあります。
コンパネとは正式にはコンクリート型枠用のコンクリートパネル板を指しますが、非常にややこしいですが、屋根の野地板は板厚12mmの構造用合板と呼ばれるベニア合板が使用されます。
構造用合板はホルムアルデヒドの含有率や耐水性などがJIS規格で規定されており、屋根の野地板だけではなく、住宅の内装でも使用されます。
屋根の葺き替え工事の見積書を確認する際は、必ず野地板の種類と板厚を確認すると安心です。
屋根全体に野地板を施工したら施工完了です。
【工程3】ルーフィングシート(防水シート)の施工
野地板の施工が完了したら、ルーフィングシートを施工します。 ルーフィングシートは屋根の防水シートして屋根の防水性能を確立する重要な素材です。
ルーフィングシートの施工後の写真ですが、紙のような素材がルーフィングシートです。ルーフィングは屋根の二次防水として、建物の内部に雨水が侵入するのを食い止める役割があります。
雨漏りはこのルーフィングシートに「破れ」や「縮れ」が発生してルーフィングシートに隙間が生じることで発生します。
極端な話、屋根材をすべて撤去しても、ルーフィングがしっかりと機能していれば、雨漏りに発展することはありません。
このようにルーフィングシートは屋根の防水性能を確立している重要な素材であり、工程ということを理解しておきましょう。
ルーフィングシートは施工する順番が何よりも重要です。例外なく軒先(屋根の底部)から棟(屋根の高部)に向かって順番にルーフィングシートを重ねていきます。
これはルーフィングの重なりが水の流れと逆目にならないようにするためです。
この順番が逆の箇所が1箇所でもあると、屋根の内部に雨水を招き入れてしまうため、雨漏りの原因になります。
「屋根の葺き替え工事後、すぐに雨漏りが発生した」「新築後、3年で雨漏りが発生した」という不具合の多くは、このルーフィングの施工不良が原因です。
このようにルーフィングは屋根の防水性能を左右する重要な素材ということを理解しておきましょう。
【工程4】ガルバリウム鋼板の施工
ルーフィングシートの施工が完了したらガルバリウム鋼板を施工します。 「立平葺き(たてひらぶき)」という施工方法で、屋根の棟に対して垂直方向にガルバリウム鋼板を施工します。
一般的にガルバリウム鋼板は棟に対して水平(横向き)に設置する「横葺き」が主流です。
しかし、横葺きは勾配が緩やかな屋根に施工をすると、排水不良が発生します。
それではなく、毛細現象が発生して屋根の内部に雨水が侵入するようになります。
そのため、勾配が緩やかな屋根では横葺きでは施工せずに、排水性能に優れた「立平葺き」で施工をします。
「立平葺き」は棟から雨樋までつなぎ目がないのが特徴です。
そのため、横葺きよりも排水性能に優れています。
このように勾配が緩やかな屋根の場合、立平葺きで施工をすることを理解しておきましょう。
ガルバリウム鋼板の施工が完了しました。ガルバリウム鋼板の施工が完了したら棟部分に棟板金を取り付けるために棟下地(むねしたじ)を施工します。
棟下地の施工が完了しました。この木材板に釘を打ち付けて棟板金を固定します。
【工程5】棟板金の施工
棟下地の施工が完了したら、棟板金を取り付けます。棟板金を取り付けたら屋根の葺き替え工事は施工完了です。
棟板金のつなぎ目はコーキグでしっかりと固定します。
棟板金の施工が完了しました。屋根の葺き替え工事の全工程が完了しました。
屋根葺き替え工事の施工後の様子
屋根全体に錆が発生して雨漏りが発生していたトタン屋根がキレイに生まれ変わりました。








