【屋根材別】アルマ(アスファルトシングル) | カバー工法の施工方法や費用相場を解説

「アルマ」屋根の劣化にお悩みではありませんか?アスファルトシングルであるアルマ屋根の特性を解説し、既存屋根材の上に重ねる「カバー工法」の全てを徹底解説します。メリット・デメリット、施工手順、費用相場、業者選びのポイントまで網羅。アルマ屋根の寿命を延ばし、コストを抑えながら美観を回復させる最適な方法が見つかるでしょう。後悔しない屋根リフォームのために、ぜひご活用ください。

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アルマとはアスファルトシングル屋根材の特徴を解説

「アルマ」は、大手建材メーカーであるニチハが提供するアスファルトシングル屋根材のブランドです。その名はラテン語で「鎧」を意味し、住まいを強固に守るというコンセプトが込められています。米国で長い歴史を持つアスファルトシングル材の技術を基盤に、日本の住宅環境に合わせた高い耐久性と、現代の建築デザインにマッチする洗練された意匠性を兼ね備えているのが特徴です。国土交通大臣認定の飛び火認定試験(DR-1875(1))にも合格しており、防火性能についても一定の基準を満たしています。

アスファルトシングルは、ガラス繊維基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付けたシート状の屋根材です。軽量で柔軟性が高く、複雑な屋根形状にも対応しやすいことから、デザイン性の高い住宅にも多く採用されています。アルマは、そのアスファルトシングルの特性を最大限に活かしつつ、さらに日本の気候風土に合わせた改良が加えられています。

アルマの主なメリットとデメリット

アルマをはじめとするアスファルトシングル屋根材には、他の屋根材にはない独自のメリットと、注意すべきデメリットがあります。ここでは、アルマの具体的な特徴を交えながら解説します。

アルマの主なメリット

  • 優れたデザイン性:

    アルマは、その豊かなカラーバリエーションと、独特の陰影を生み出すランダムな粒状石の表情が魅力です。深みのある色合いと立体感は、洋風建築からモダンな住宅まで、様々なスタイルに調和し、屋根に重厚感と高級感を与えます。特に、ブラックAR、グレーAR、ブラウンAR、グリーンAR、キャメルARといった多彩な色展開は、住まいの外観デザインの幅を広げます。

    アルマのカラーバリエーションは以下の通りです。

    品番 色名称
    SA301 ブラックAR
    SA302 グレーAR
    SA303 ブラウンAR
    SA304 グリーンAR
    SA305 キャメルAR

    景観条例などで色彩に規定がある場合は、以下のマンセル値をご参照ください。ただし、マンセル値は商品全体に含まれる色を平均化した値であり、最終的な色確認は実物サンプルで行うことをお勧めします。

    色名称 マンセル値
    ブラックAR N2
    グレーAR 5Y 3/1
    ブラウンAR 5YR 2/4
    グリーンAR 10GY 3/3
    キャメルAR 5YR 3/4
  • 軽量で耐震性に優れる:

    他の主要な屋根材と比較して非常に軽量です。例えば、和瓦の約1/4、スレート屋根の約1/2程度の重さしかなく、屋根が軽くなることで建物全体の重心が下がり、地震時の揺れを軽減する効果が期待できます。これは、日本の地震が多い環境において、住宅の耐震性向上に大きく貢献する重要なメリットです。

  • 高い防水性と遮音性:

    アスファルトシングルは、素材自体が高い防水性を持つアスファルトでできており、さらに重ねて施工することで水の侵入を防ぎます。また、表面の石粒が雨音を吸収するため、雨天時の遮音性にも優れており、室内での生活音への影響を軽減します。

  • 環境負荷の低減:

    アルマは、原材料の調達から製造、廃棄に至るまでのライフサイクル全体におけるCO2排出量が、他の屋根材と比較して少ないことがLCA(Life Cycle Assessment:製品やサービスの環境影響評価)評価で示されています。これは、環境に配慮した屋根材として注目される点です。

  • 施工の柔軟性:

    シート状で柔軟性があるため、複雑な屋根形状や曲面にも対応しやすく、デザインの自由度が高いのも特徴です。

アルマの主なデメリットと注意点

  • 粒状石の剥がれ(石落ち):

    アルマを含むアスファルトシングルは、表面に施された粒状石が経年や外部からの衝撃、施工時の摩擦などにより剥がれる「石落ち」という現象が見られます。これはアスファルトシングル特有の現象であり、製品の異常ではありません。剥がれた粒状石は雨樋に溜まることがありますが、製品の防水性や耐久性に直接的な影響を与えることは少ないとされています。ただし、過度な石落ちは美観を損ねるだけでなく、防水層の露出につながる可能性もあるため、定期的な点検が推奨されます。

  • コケやカビの発生:

    アスファルトシングルの表面は凹凸があり、粒状石の隙間に水分や汚れが溜まりやすいため、日当たりが悪い場所や湿気の多い環境では、コケやカビが発生しやすい傾向があります。アルマには防藻性能を付加した粒状石が使用されていますが、その効果は永久的なものではなく、全ての藻に対して効果を発揮するものではない点に注意が必要です。美観を維持するためには、定期的な清掃や専門業者によるメンテナンスが有効です。

  • 強風時の剥がれ:

    アスファルトシングルは専用の接着剤と釘で固定されますが、施工が不適切であったり、経年による接着剤の劣化が進んだりすると、強風によって剥がれてしまう可能性があります。特に、屋根の軒先やケラバ部分は風の影響を受けやすいため、適切な施工と定期的な点検が重要です。

アルマ屋根の主な劣化症状とメンテナンスの目安

アルマ屋根も他の屋根材と同様に、経年や外部環境によって様々な劣化症状が現れます。適切な時期にメンテナンスを行うことで、屋根の寿命を延ばし、住まいを長期間保護することができます。

アルマ屋根の主な劣化症状

  • 色あせ・変色:

    紫外線や風雨にさらされることで、表面の粒状石の色が薄くなり、全体的に色あせや変色が見られるようになります。これは美観を損ねるだけでなく、屋根材の保護機能が低下しているサインでもあります。

  • 粒状石の過度な剥がれ:

    前述の「石落ち」が広範囲にわたって進行すると、アスファルト層が露出してしまい、屋根材の劣化を早める原因となります。特に、屋根の谷部分や雨樋に大量の石粒が確認される場合は注意が必要です。

  • ひび割れ・欠け:

    経年劣化による屋根材の硬化や、外部からの衝撃(飛来物など)によって、アスファルトシングル本体にひび割れや欠けが生じることがあります。これにより、そこから雨水が浸入し、雨漏りの原因となる可能性があります。

  • 浮き・剥がれ:

    屋根材が下地から浮き上がったり、部分的に剥がれたりする症状です。接着剤の劣化や強風、施工不良などが原因で発生します。剥がれた箇所から雨水が浸入しやすくなるため、早急な補修が必要です。

  • コケ・カビの著しい発生:

    軽度のコケやカビは美観上の問題に留まりますが、広範囲にわたって著しく発生すると、屋根材の表面を覆い、乾燥しにくくなることで屋根材の劣化を促進する可能性があります。また、根を張ることで屋根材を傷つけることもあります。

アルマ屋根のメンテナンスの目安

アルマ屋根の寿命は一般的に20年~30年とされていますが、立地環境や日当たり、風雨の影響などによって劣化の進行度は異なります。定期的な点検と適切なメンテナンスが、屋根を長持ちさせる鍵となります。

10年ごとの定期点検を推奨します。この際に、上記のような劣化症状がないか、専門業者に確認してもらうことが重要です。軽微な劣化であれば部分補修で対応可能ですが、広範囲にわたる劣化や構造的な問題が見られる場合は、屋根全体の葺き替えや、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて施工するカバー工法などの大規模なメンテナンスが必要となることがあります。

特に、石落ちが著しい場合や、ひび割れ・浮き・剥がれが見られる場合は、雨漏りのリスクが高まるため、早めに専門業者に相談し、適切な処置を検討しましょう。

アルマの詳しい製品情報や施工資料、メンテナンスに関する情報は、ニチハの公式ウェブサイトhttps://www.nichiha.co.jp/products/loof/armor/でも確認できます。

アルマ本体の基本仕様

アルマ本体の主な仕様は以下の通りです。

項目 内容
品番 SA30□
標準価格(税抜) 900円/枚
6,300円/m²
寸法 厚み 凸部6mm(凹部3mm)
長さ 337mm
984mm
葺き足 143mm
梱包重量 約27kg
㎡あたり葺き枚数 約7枚
坪あたり葺き枚数 約23枚
梱包 16枚/梱
パレット積み量 64梱包

※標準屋根勾配は3.5寸以上、27.5寸(約70度)以下としてください。2.5寸以上3.5寸未満の場合は緩勾配仕様での施工が必要です。多雪地域においては、新築・重ね葺きともに緩勾配仕様では施工できません。

屋根のカバー工法とは既存屋根材の上に重ねるメリット

屋根のメンテナンスやリフォームを検討する際、「カバー工法」は、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新しい屋根材を重ねて設置する工法として広く知られています。 この方法は、従来の「葺き替え」と比較して、廃材の発生を抑え、環境負荷を低減できるという点で注目を集めています。 特に、軽量なアスファルトシングルである「アルマ」のような屋根材は、カバー工法との相性が非常に良く、効率的かつ経済的な屋根リフォームを実現する選択肢として多くの住宅で採用されています。

カバー工法の基本的な仕組みと工程

カバー工法は、劣化した既存の屋根材を有効活用し、その上に新たな防水層と屋根材を設けることで、屋根全体の機能性を高めるリフォーム手法です。 具体的な施工工程は以下のステップで進められます。

工程 内容
1. 既存屋根の点検・清掃 まず、専門業者が既存の屋根材の状態を詳細に点検し、カバー工法が適用可能かどうかを判断します。 浮きや破損が著しい箇所がある場合は、事前に部分的な補修を行うことがあります。 その後、屋根表面の汚れやコケなどを丁寧に清掃し、下地処理の準備をします。
2. 下地の補修・調整 既存の屋根下地(野地板など)に傷みや腐食が見られる場合は、新しい屋根材を安全かつ確実に固定できるよう、必要な範囲で補修や調整を行います。 特に、アルマのようなアスファルトシングル屋根材の場合、既存屋根の表面状態によっては、下葺材の密着性を高めるための適切な処理が不可欠です。
3. 防水シート(ルーフィング)の設置 既存屋根材の上に、新しい防水シート(ルーフィング)を敷設します。 このルーフィングは、屋根の二次防水層として非常に重要な役割を担い、万が一屋根材の隙間から雨水が浸入しても、建物の内部への浸水を防ぎます。 耐久性・防水性に優れた改質アスファルトルーフィングが一般的に使用されます。
4. 新しい屋根材の設置 ルーフィングの設置後、選定した新しい屋根材を重ねて施工していきます。 アルマなどのアスファルトシングルは、その軽量性と加工のしやすさから、カバー工法に適した屋根材の一つです。 専用の釘や接着剤を用いて、風雨に耐えうるようしっかりと固定します。
5. 棟板金や軒先の処理 屋根の頂上部分である棟や、軒先、ケラバなどの端部には、棟板金や役物と呼ばれる専用の部材を取り付けます。 これにより、雨水の侵入を徹底的に防ぎ、屋根全体の防水性を確保するとともに、美しい仕上がりを実現します。

この一連の工程を経て、屋根は二重構造となり、既存の屋根材が持つ問題点を解消しつつ、新たな屋根材による機能向上が図られます。

カバー工法を選ぶメリットとデメリット

屋根のリフォームにおいてカバー工法を選択することには、多くのメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。 特にアルマ屋根への適用を検討する際には、これらの点を総合的に判断することが重要です。

項目 メリット デメリット
費用・コスト 既存屋根材の撤去費用や廃材処分費用が不要となるため、従来の葺き替え工法に比べて総コストを大幅に抑えられる傾向があります。 特に、アルマのようなアスファルトシングルは軽量であり、運搬コストも比較的低く抑えられます。 既存屋根材がアスベストを含んでいても撤去しないため、アスベスト飛散のリスクは低いですが、将来的に建物を取り壊す際には、アスベスト含有建材としての処理費用が発生する可能性があります。 また、既存の下地の劣化が著しい場合、カバー工法が適用できず、結局葺き替え工法を選択せざるを得なくなるケースもあります。
工期 屋根材の撤去作業が不要なため、工事期間が大幅に短縮されます。 これにより、工事中の騒音や振動、粉塵などの発生を最小限に抑え、住民の生活への影響を軽減することができます。 屋根の形状が複雑な場合や、悪天候が続く場合など、現場の状況によっては予定より工期が延びる可能性もあります。
環境負荷 廃材の発生量が大幅に削減されるため、環境に優しいリフォーム方法として評価されています。 廃棄物処理にかかるエネルギーや資源の節約にも貢献します。 特になし。
機能性向上 屋根が二重構造になることで、断熱性や遮音性が向上します。 また、新しい防水シートと屋根材による二重の保護層が形成されるため、防水性も強化されます。 アルマのような軽量なアスファルトシングル材を選ぶことで、屋根の重量増加による建物への負担を抑えつつ、これらの機能向上が期待できます。 屋根の重量が増加するため、建物全体の耐震性に影響を与える可能性があります。 特に築年数の古い建物や、もともと耐震性が低い建物では、事前に専門家による構造計算や診断が不可欠です。 一般社団法人 日本屋根診断士協会などの専門機関に相談し、安全性を確認することをおすすめします。
将来性・メンテナンス 新しい屋根材に更新されるため、屋根全体の寿命が延び、長期的なメンテナンスコストの削減に繋がります。 万が一、既存屋根材の内部で雨漏りが発生した場合、二重構造のため原因の特定や修理が複雑になることがあります。 また、カバー工法は一度しかできないことが多く、将来的に再度屋根リフォームが必要になった際には、カバー工法が適用できず、葺き替えが必要になる可能性が高まります。

カバー工法は、コストや工期の面で大きなメリットがある一方で、建物の状態や将来的な視点からデメリットも十分に考慮する必要があります。 特にアルマ屋根へのカバー工法を検討する際は、信頼できる専門業者による詳細な診断と、長期的な視点に立った適切なアドバイスを受けることが、リフォームを成功させるための鍵となります。

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アルマ屋根にカバー工法は最適か判断基準と注意点

「アルマ」に代表されるアスファルトシングル屋根材は、その軽量性や柔軟性から、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根材を重ねるカバー工法と非常に相性が良いとされています。しかし、すべてのアルマ屋根にカバー工法が適用できるわけではなく、適切な判断基準に基づいた検討が不可欠です。ここでは、アルマ屋根へのカバー工法を検討する際に考慮すべき点と、選ばれる新しい屋根材について詳しく解説します。

アルマ屋根のカバー工法が不可能なケース

アルマ屋根へのカバー工法は多くのメリットを提供しますが、以下のような状況では施工が難しい、あるいは推奨されない場合があります。安全かつ長期的な住まいの保護のためには、専門業者による詳細な事前診断が不可欠です。

  • 既存屋根の構造的な損傷や著しい劣化
    既存のアルマ屋根材の下にある野地板や垂木などの構造躯体に、腐食、雨漏りによる広範囲な損傷、シロアリ被害といった深刻な劣化が見られる場合、カバー工法では根本的な問題解決にはなりません。このようなケースでは、既存屋根材を全て撤去し、下地から補修・交換を行う「葺き替え工法」が適切です。

  • 既存屋根材の広範囲な剥がれや浮き
    既存のアルマ屋根材が広範囲にわたって剥がれていたり、下地から大きく浮いていたりする場合、新しい屋根材をその上に重ねても安定した下地を確保できません。強風で新しい屋根材ごと剥がれてしまうリスクがあるため、カバー工法は不向きです。

  • 屋根全体の重量が建物の耐荷重を超える可能性
    アルマなどのアスファルトシングルは軽量な屋根材ですが、既存の屋根材が非常に重い素材(例:日本瓦など)である場合、さらに新しい屋根材を重ねることで建物全体の重量が増加し、耐震性に悪影響を及ぼす可能性があります。建物の構造計算に基づいた重量制限の確認が重要です。

  • 極端な屋根勾配の場合
    アスファルトシングルの特性上、極端な緩勾配(例:2.5寸未満)の屋根では、雨水の排水が不十分となり、雨漏りのリスクが高まるため、カバー工法ができない場合があります。また、製品によっては急勾配(例:27.5寸超)も施工範囲外となることがあります。ニチハのアルマ製品においても、標準屋根勾配は3.5寸以上27.5寸(約70度)以下とされており、多雪地域では緩勾配での重ね葺き施工ができないといった制限があります。

カバー工法で選ばれる新しい屋根材の種類

アルマ屋根にカバー工法を適用する際、その上に重ねる新しい屋根材としては、主に軽量で耐久性の高い素材が選ばれます。特に人気の高い選択肢は、ガルバリウム鋼板と新しいアスファルトシングルです。

ガルバリウム鋼板のメリットとデメリット

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金でメッキされた鋼板で、軽量性と耐久性を兼ね備えた人気の屋根材です。

項目 メリット デメリット
軽量性・耐震性 非常に軽量なため、建物への負担が少なく、耐震性の向上に貢献します。既存屋根材の上に重ねるカバー工法に適しています。
耐久性・耐候性 サビに強く、酸性雨や潮風にも高い耐性を持つため、長期にわたる耐久性を期待できます。 表面に強い衝撃や摩擦が加わると傷がつき、そこからサビが発生する可能性があります。
デザイン性 多様な色や形状、表面加工があり、モダンな住宅から伝統的な住宅まで幅広いデザインに対応可能です。
遮音性・断熱性 金属素材のため、雨音が響きやすい特性があります。また、単体では断熱性も高くありません。 裏打ち材(断熱材一体型)を使用することで、雨音の軽減や断熱性能の向上が期待できます。
費用 初期費用は他の屋根材と比較してやや高めですが、その高い耐久性からメンテナンス費用を抑えられ、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れます。 初期費用が比較的高価に感じられることがあります。

新しいアスファルトシングルのメリットとデメリット

既存のアルマ屋根と同じアスファルトシングル材を重ね葺きする選択肢も有効です。新しいアスファルトシングルは、アルマの持つ軽量性や柔軟性を活かしつつ、さらに性能が向上した製品も登場しています。

項目 メリット デメリット
軽量性・柔軟性 非常に軽量で建物への負担が少なく、柔軟性があるため複雑な屋根形状にも対応しやすいです。
デザイン性 豊富なカラーバリエーションと、表面の石粒による独特の風合いが魅力で、洋風住宅に特にマッチします。
防水性・防音性 高い防水性能を持ち、石粒とアスファルト層が雨音を吸収するため、優れた防音性を発揮します。
強風への耐性 強風時に剥がれやすいという懸念が指摘されることがありますが、専用の接着剤(シングルセメント)と釘をメーカーの施工要領に従って適切に使用することで、耐風性を高めることが可能です。 施工品質が耐風性に大きく影響するため、信頼できる専門業者選びが重要です。
コケ・カビの発生 湿気が多い環境や日当たりの悪い場所では、表面にコケやカビが発生しやすい傾向があります。 防藻性能を付加した製品を選ぶことで、発生リスクを軽減できますが、効果は永続的ではありません。
石粒の脱落 経年劣化や紫外線、風雨の影響により、表面の石粒が徐々に脱落することがあります。これはアスファルトシングル特有の自然現象であり、製品異常ではありません。 石粒の脱落が進むと、美観や防水性能に影響を与える可能性があるため、定期的な点検が推奨されます。

どちらの屋根材を選択する場合でも、カバー工法は既存の屋根材が健全な下地として機能することを前提としているため、専門業者による事前の詳細な診断と、各屋根材の特性を熟知した適切な施工が、長期的な屋根の保護と安心につながります。

アルマ屋根のカバー工法施工手順を徹底解説

「アルマ」の屋根にカバー工法を検討している方、あるいは新しい屋根材として「アルマ」を選びカバー工法で施工する方のために、具体的な施工手順を詳しく解説します。適切な手順で施工することで、屋根の防水性や耐久性が最大限に引き出され、長期的な安心に繋がります。

事前準備と下地処理

カバー工法を始める前に、まずは既存の屋根の状態を詳細に確認することが重要です。特に、既存の屋根がアルマ(アスファルトシングル)の場合、以下の点に注意が必要です。

  • 既存屋根の劣化状況の把握:広範囲にわたる破損や浮き、剥がれがある場合は、カバー工法が適さない可能性があります。下地の腐食がないかどうかも確認します。
  • アスベスト含有の有無:既存の屋根材にアスベストが含まれている場合、撤去には特別な手続きと費用が発生しますが、カバー工法であれば飛散を抑えながら施工が可能です。
  • 清掃と下地の調整:既存屋根の表面に付着したコケや汚れを清掃し、浮いている部分があれば補修・固定して平滑な下地を確保します。

これらの確認と準備は、カバー工法後の屋根の性能を左右する重要な工程です。信頼できる専門業者に診断を依頼し、適切な判断を仰ぎましょう。

ルーフィングの設置

カバー工法において、ルーフィング(下葺材)は新しい屋根材の下で防水層の役割を果たす、非常に重要な部材です。既存の屋根材の上に直接設置されるため、その種類と施工方法には細心の注意が必要です。

アルマ屋根へのカバー工法におけるルーフィングの設置は、屋根の勾配や既存屋根材の種類(特にアスベストの有無)によって推奨される仕様が異なります。

項目 緩勾配(2.5寸以上~3.5寸未満) 3.5寸以上~27.5寸以下
既存屋根:石綿なし 既存屋根:石綿あり 既存屋根:石綿なし 既存屋根:石綿あり
下葺材の種類 片面粘着層付き改質アスファルトルーフィング(厚さ1.0mm以上) 片面粘着層なし下葺材(あんしん屋根カバー工法・緩勾配仕様) 片面粘着層付き改質アスファルトルーフィング(厚さ1.0mm以上) 片面粘着層なし下葺材(あんしん屋根カバー工法・一般仕様)
重ね部のずらし 必要なし 必要なし
板金取合部 必要なし 必要なし
流れ長さ 10m以下 20m以下

既存屋根材がアスファルトシングルの場合、その表面状態によってはルーフィングが十分に接着しないことがあります。 このようなケースでは、ルーフィングを板金や釘で仮留めするなど、確実な固定を行うことが推奨されます。これにより、強風時の剥がれや雨水の浸入を防ぎ、屋根全体の防水性能を確保します。下葺材の施工は、住宅会社や工事店の仕様、保険機構の基準などを確認し、雨漏りが発生しないよう確実に行うことが不可欠です。

新しい屋根材の施工

ルーフィングの設置が完了したら、いよいよ新しいアルマ(アスファルトシングル)本体の施工に入ります。アルマの施工は、その特性を活かし、適切な専用部材を使用することが重要です。

まず、軒先から順にアルマ本体を葺き上げていきます。アルマは裏面に接着層があるため、熱や太陽光によって接着力が高まりますが、施工時には専用の釘で固定します。使用する釘は、屋根の勾配や既存屋根材の有無に応じて適切なものを選びます。

  • 新築・一般地域:アルマ用シングル釘(手打ち施工用)またはアルマ用連結釘を使用します。
  • 重ね葺き(カバー工法)・一般地域:既存屋根材の上にルーフィングを介して施工するため、既存屋根材の厚みを考慮したアルマ重ね葺き用連結釘を使用します。

釘はアルマ本体の所定の位置に、適切な間隔で打ち込むことが求められます。これにより、強風による飛散防止や屋根材の浮き上がりを防ぎ、美しい仕上がりと長期的な耐久性を実現します。アルマは一枚一枚を重ねていく施工方法のため、職人の技術が仕上がりに大きく影響します。

棟板金や軒先の処理

屋根材本体の施工後、屋根の端部や接合部である棟(むね)、軒先(のきさき)、ケラバ(妻側)などの処理を行います。これらの部分は雨水が浸入しやすい箇所であるため、特に丁寧な防水処理と部材の設置が求められます。

棟(むね)の処理と棟換気

棟は屋根の頂点に位置し、雨水の浸入を防ぐだけでなく、小屋裏の湿気を排出する役割も担います。アルマのカバー工法では、専用のアルマ同質棟材やアルマ同質棟材用棟換気部材を使用します。

  • 棟換気部材の設置:小屋裏の結露や熱気を排出するために、アルマ同質棟材用棟換気部材(品番:SAF100など)を棟部分に設置します。これにより、屋根下地の劣化を防ぎ、住宅全体の耐久性向上に貢献します。棟換気部材は、軒裏換気部材などと組み合わせて、住宅金融支援機構の基準に基づいた小屋裏換気構造とすることが推奨されます。
  • 同質棟材の固定:棟換気部材の上から、アルマ同質棟材(品番:SAH21□など)をアルマ同質棟材用シングル釘(品番:SAK110など)で固定します。同質棟材は本体のカラーバリエーションに合わせた近似色が用意されており、一体感のある美しい仕上がりとなります。

軒先・ケラバの処理とシングルセメント

軒先やケラバは、屋根の端部を保護し、雨水が壁面に流れ落ちるのを防ぐ重要な部分です。これらの部位には、役物板金を取り付け、アルマ用シングルセメント(品番:SAC1500)を使用して、屋根材の接着と防水性を強化します。

  • 板金取合部の処理:緩勾配の屋根や、雨仕舞が特に重要となる箇所では、アルマ用シングルセメントを塗布して、屋根材と板金との密着性を高め、雨水の浸入を確実に防ぎます。

これらの細部の処理は、屋根全体の防水性能と美観を保つために不可欠な工程です。経験豊富な職人による丁寧な施工が求められます。

施工における注意点と推奨事項

アルマ屋根のカバー工法を成功させるためには、いくつかの重要な注意点と推奨事項があります。

  • 標準屋根勾配の遵守:アルマの標準屋根勾配は3.5寸以上、27.5寸(約70度)以下とされています。2.5寸以上3.5寸未満の緩勾配の場合は、緩勾配仕様に従った特別な施工が必要です。
  • 多雪地域での施工制限:多雪地域においては、新築・重ね葺きともに緩勾配仕様での施工はできません。地域特性に応じた適切な屋根材選定と施工方法の確認が必須です。
  • 小屋裏換気の確保:棟換気部材だけでなく、軒裏換気部材なども併用し、住宅金融支援機構の基準に基づく適切な小屋裏換気構造を確保することが重要です。これにより、屋根下地の結露や腐食を防ぎ、住宅の長寿命化に貢献します。
  • 専用付属部材の使用:アルマの性能を最大限に引き出すためには、アルマ用シングル釘、連結釘、シングルセメント、同質棟材、棟換気部材といった専用付属部材を適切に使用することが不可欠です。

より詳細な施工方法や注意事項については、ニチハの公式サイトで提供されている施工資料(PDF)を参照することをおすすめします。専門業者との密な連携と、メーカーが定める施工基準の遵守が、高品質なカバー工法を実現する鍵となります。

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用相場と内訳

「アルマ」を用いた屋根のカバー工法を検討する際、最も気になるのがその費用ではないでしょうか。屋根のカバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根材を重ねるため、葺き替え工法に比べて費用を抑えやすいという特徴があります。特に軽量なアスファルトシングルであるアルマは、カバー工法に適しており、建物の構造への負担も少ないため、人気のリフォーム選択肢となっています。

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用は、屋根の面積、形状、劣化状況、使用する材料の種類、そして依頼する業者によって大きく変動します。ここでは、アルマ屋根のカバー工法における費用相場と、その内訳について詳しく解説します。

坪数別の費用目安

アルマ屋根のカバー工法にかかる総費用の目安を、一般的な住宅の坪数(または㎡数)別にまとめました。この費用はあくまで概算であり、具体的な金額は現地調査後の見積もりで確定します。足場設置費用や諸経費なども含んだ総額の目安としてご参照ください。

アスファルトシングルであるアルマは、その軽量性からカバー工法との相性が良く、既存屋根への負担を抑えながら新しい屋根に生まれ変わらせることが可能です。

屋根面積(坪) 屋根面積(㎡) アルマ屋根カバー工法の費用相場(税抜)
20坪 約66㎡ 約60万円~100万円
30坪 約99㎡ 約90万円~150万円
40坪 約132㎡ 約120万円~200万円

上記は一般的な相場であり、屋根の形状が複雑な場合や、既存屋根の補修が必要な場合は費用が上昇する傾向にあります。また、使用する下葺材や棟材などの付属部材のグレードによっても費用は変動します。

材料費と工事費の詳細

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用は、主に「材料費」と「工事費」に分けられます。それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。

材料費

材料費には、アルマ本体の費用と、カバー工法に必要な各種付属部材の費用が含まれます。アルマはニチハが提供するアスファルトシングルであり、そのメーカー希望小売価格は1m²あたり6,300円(税抜)とされています。これは本体のみの価格であり、工事費や運賃、消費税は含まれていません。坪数に換算すると、1坪あたり約20,853円(税抜)がアルマ本体のメーカー希望小売価格の目安となります。

また、アルマの施工には専用の釘やセメント、棟材、棟換気部材などが必要となります。これらの付属部材のメーカー希望小売価格は以下の通りです。

品名 品番 標準価格(税抜) 梱包
アルマ用シングル釘(手打ち施工用) SAK100 3,400円/箱 1kg/箱(約630本)
アルマ用連結釘 SAR100 30,000円/梱 30巻/梱(120本/巻)
アルマ重ね葺き用連結釘 SAR110 45,000円/梱 30巻/梱(120本/巻)
アルマ用シングルセメント SAC1500 2,700円/本 カートリッジ(330ml)10本/梱
アルマ同質棟材 SAH21□ 620円/枚 30枚/梱
アルマ同質棟材用シングル釘 SAK110 1,200円/袋 250g/袋(約100本入り)
アルマ同質棟材用棟換気部材 SAF100 23,000円/梱 2本/梱

これらの部材は、屋根の形状や勾配、施工方法(新築か重ね葺きか)によって必要な種類や量が異なります。特に、棟換気部材は小屋裏の換気性能を確保するために重要であり、住宅金融支援機構の基準に適合するよう設置が推奨されます。詳細な製品情報については、ニチハ公式サイト「アスファルトシングル アルマ」をご参照ください。

また、棟包み板などの施工関連部材は現地調達となる場合が多く、推奨部材メーカーとして株式会社ヨネキンが挙げられています。株式会社ヨネキン公式サイト

工事費

工事費には、職人の人件費や施工に必要な費用が含まれます。主な項目は以下の通りです。

  • 足場設置費用:屋根工事には安全確保のため、ほぼ必須となる費用です。建物の外周や高さによって費用が変動し、一般的に1m²あたり600円~1,000円程度が相場です。
  • 既存屋根材の補修・下地調整費用:カバー工法では既存屋根材の撤去は原則不要ですが、既存屋根材の浮きやひび割れがひどい場合、下地の補修が必要になることがあります。その際は追加費用が発生します。
  • ルーフィング(防水シート)設置費用:新しい屋根材を葺く前に、必ず防水シートを設置します。材料費と施工費を含め、1m²あたり500円~1,000円程度が目安です。アルマの施工要領では、勾配に応じて粘着層付き改質アスファルトルーフィングなどが推奨されています。
  • アルマ本体の施工費用:屋根材の葺き付け作業にかかる費用です。1m²あたり3,000円~5,000円程度が目安となります。
  • 棟板金・軒先・谷樋などの役物工事費用:屋根の頂点である棟や、軒先、谷部分には専用の板金や部材(役物)を取り付けます。これらの加工・取り付け費用は、一式で2万円~10万円程度、またはメートル単価で計算されることが多いです。
  • 諸経費:運搬費、現場管理費、廃材処分費(カバー工法では既存屋根材の処分費は大幅に削減されますが、少量の廃材は発生します)などが含まれます。総工事費の5~10%程度が目安です。

これらの費用は、屋根の勾配や複雑さ、地域によっても変動します。例えば、緩勾配(2.5寸以上~3.5寸未満)の屋根では、防水強化仕様の下葺材の使用や重ね部のずらしが必要となり、手間が増えることで費用がやや高くなる傾向があります。

費用を抑えるポイントと見積もり時の注意点

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用は決して安価ではありませんが、いくつかのポイントを押さえることで費用を抑え、また不必要な出費を避けることができます。

費用を抑えるポイント

  • 複数の業者から相見積もりを取る:最低でも3社程度の業者から見積もりを取り、内容や費用を比較検討することが重要です。これにより、適正価格を把握し、不当に高額な請求を避けることができます。
  • 補助金や助成金制度の活用:お住まいの地域によっては、屋根のリフォームに対して地方自治体や国からの補助金・助成金制度が利用できる場合があります。事前に情報収集し、適用条件を確認しましょう。
  • 閑散期に依頼する:屋根工事の需要が少ない時期(例えば冬場など)は、業者によっては割引やキャンペーンを実施していることがあります。
  • 劣化が軽度なうちに早めにメンテナンスを行う:屋根の劣化が進行すると、下地の補修など追加工事が必要になり、結果的に費用が高くなります。定期的な点検と、劣化が軽度なうちの早期対応が費用を抑えることにつながります。

見積もり時の注意点

見積もりを受け取ったら、以下の点に注意して内容をしっかり確認しましょう。

  • 見積もりの内訳が詳細か:「屋根工事一式」のような大まかな表記ではなく、材料費、工事費、足場代、諸経費などが項目ごとに明確に記載されているか確認しましょう。アルマ本体の㎡単価や、付属部材の数量なども細かく記載されていると安心です。
  • 追加費用の発生条件を確認する:予期せぬ追加費用が発生する可能性について、事前に業者に確認しましょう。特に既存屋根の下地の状態によっては追加工事が必要になる場合があります。
  • 保証内容とアフターサービス:工事後の保証期間や内容、アフターサービスについて確認しましょう。万が一のトラブル時に備え、信頼できる保証が提供されているかは重要な判断基準です。
  • 契約前に疑問点を解消する:見積もり内容や工事について少しでも疑問や不明な点があれば、契約前に必ず業者に質問し、納得いくまで説明を求めましょう
  • 訪問販売業者には注意する:突然訪問してきて「屋根が壊れている」などと不安を煽り、即決を迫る業者には注意が必要です。焦らず、複数の業者から比較検討する時間を確保しましょう。

これらのポイントと注意点を踏まえることで、アルマ屋根のカバー工法をより安心して、そして適正な費用で実施することができるでしょう。

アルマ屋根のカバー工法における業者選びのポイント

「アルマ」を用いた屋根のカバー工法は、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根材を重ねるため、施工の品質が長期的な住まいの安全性と快適性を左右します。特に「アルマ」のようなアスファルトシングル材は、その特性を理解した適切な施工が不可欠です。信頼できる業者を選ぶことは、工事の成功だけでなく、将来的な安心にもつながるため、慎重な検討が求められます。

信頼できる業者の見分け方

「アルマ」屋根のカバー工法を依頼する際、多くの業者の中から最適なパートナーを見つけるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下の基準を参考に、安心して任せられる業者を選びましょう。

実績と経験

「アルマ」を含むアスファルトシングル屋根材のカバー工法において、豊富な施工実績と経験を持つ業者を選ぶことが重要です。実績のある業者は、様々な屋根の状況に対応できる知識と技術を持ち合わせています。特に、ニチハの「アルマ」は特定の製品であるため、その製品に関する知識や取り扱い経験が豊富な業者は、より高品質な施工が期待できます。業者のウェブサイトやパンフレットで、過去の施工事例顧客の声を確認し、どのような屋根材を扱ってきたか、どのような工事を行ってきたかをチェックしましょう。

資格と許可

屋根工事を請け負う業者には、適切な建設業許可(屋根工事業など)が必須です。また、屋根診断士や建築板金技能士といった専門資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも、業者の技術力と信頼性を測る上で重要な指標となります。これらの資格は、屋根に関する専門知識と技術が公的に認められている証拠であり、安心して工事を任せるための判断材料となります。

見積もりの透明性

複数の業者から相見積もりを取り、それぞれの見積もり内容を比較検討することが非常に大切です。信頼できる業者は、「アルマ」本体の費用、下葺材、専用のシングル釘やシングルセメント、棟換気部材などの副資材の費用、足場代、人件費、既存屋根の処理費用(カバー工法の場合、撤去費用は少ないですが、部分的な補修や役物交換で発生する可能性もあります)など、詳細な内訳を明確に提示します。不明瞭な項目がある場合や、極端に安価な見積もりには注意が必要です。疑問点があれば、納得できるまで質問し、丁寧な説明が得られるかを確認しましょう。

説明の丁寧さ

「アルマ」の特性、カバー工法のメリット・デメリット、具体的な施工手順、使用する材料、そして工事後の保証内容などについて、専門用語を避け、顧客が理解しやすいように分かりやすく丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。顧客の疑問や不安に対して真摯に対応し、納得のいくまで相談に乗ってくれる姿勢があるかどうかも、業者選びの重要なポイントです。

保証内容とアフターサービス

屋根工事は一度行えば長く使用するものなので、工事後の保証やアフターサービスも業者選びの重要な要素です。万が一のトラブルに備え、どのようなサポートが受けられるのかを事前に確認しておきましょう。

工事保証

カバー工法における施工不良雨漏りなどに対する保証期間と内容を必ず確認してください。保証期間が適切であるか、保証範囲はどこまでか、保証書が発行されるかなどを契約前に確認することが重要です。一般的に、屋根工事の保証期間は10年程度が目安とされています。

製品保証

「アルマ」のような屋根材には、メーカーによる製品保証が設定されている場合があります。ニチハの「アルマ」も、製品の品質に関する保証が提供されている可能性があります。業者がメーカー保証について正確に説明し、保証書の発行手続きを適切に行ってくれるかを確認しましょう。メーカー保証と業者による工事保証がどのように連携するのかも、確認すべき重要な点です。 「アルマ」の施工に関する詳細は、ニチハの施工資料で確認できます。

定期点検とメンテナンス

屋根は常に外部環境にさらされているため、カバー工法後も定期的な点検メンテナンスが推奨されます。業者が定期点検サービスを提供しているか、その費用(有償・無償)、頻度などを確認しましょう。また、「アルマ」はアスファルトシングル特有の「石落ち」が見られることがありますが、これは製品異常ではありません。こうした製品の特性や、適切なメンテナンス方法について、専門的なアドバイスをしてくれる業者を選ぶと安心です。 「アルマ」のメンテナンスに関する情報は、ニチハの公式サイトで詳しく解説されています。

アルマ屋根のカバー工法に関するよくある質問

アルマ屋根のカバー工法はどんな屋根にでも可能ですか?

アルマ屋根へのカバー工法は、既存の屋根材の種類や劣化状態によって可否が異なります。特に、既存の屋根材がアスファルトシングルの場合、その表面状態によっては新しい下葺材が十分に接着しない可能性があります。このようなケースでは、板金や釘などを用いて下葺材を仮留めするなどの特別な施工が必要になります。

また、屋根の勾配も重要な判断基準です。アルマの標準屋根勾配は3.5寸以上27.5寸(約70度)以下とされていますが、2.5寸以上3.5寸未満の緩勾配の場合は、防水強化仕様に従った施工が求められます。多雪地域では緩勾配仕様での施工はできません。既存屋根材にアスベスト(石綿)が含まれている場合でも、カバー工法であれば飛散のリスクを抑えながら施工が可能ですが、適切な下葺材の選定と工法が必須となります。

アルマの「石落ち」は製品の不具合ですか?

アルマを含むアスファルトシングル屋根材では、製品表面の粒状石が落下する現象が見られることがあります。これはアスファルトシングル特有の現象であり、製品の異常ではありません。特に施工直後や経年劣化によって、接着が弱くなった粒状石が剥がれ落ちることがありますが、これは屋根材の機能や耐久性に直接的な影響を与えるものではないとされています。

粒状石は天然石に着色されたものであり、人体に有害な物質は含まれていません。初期の「石落ち」は製品の製造過程で付着した余分な粒状石が剥がれ落ちる場合が多く、時間とともに落ち着きます。ただし、著しい石落ちや屋根材本体の損傷が見られる場合は、専門業者に相談し、適切な診断を受けることをお勧めします。

アルマの防藻性能はどれくらい持続しますか?

アルマの表面粒状石には特殊コーティングが施されており、防藻性能が付加されています。しかし、この防藻性能は永久的なものではなく、全ての藻に対して効果を発揮するものではありません。また、その効果を保証するものでもありません。

防藻効果の持続期間は、日当たりや湿度などの環境条件によって異なります。屋根の美観を長く保つためには、定期的な点検や清掃といった適切なメンテナンスが重要です。特に日陰になりやすい場所や湿気がこもりやすい場所では、藻やコケが発生しやすいため注意が必要です。メーカーの推奨するメンテナンス方法や、専門業者による定期的な診断を参考にしてください。

アルマ屋根のカバー工法はどの地域でも施工できますか?

提供された情報によると、ニチハのアスファルトシングル「アルマ」は「地域限定」の製品として販売されています。そのため、お住まいの地域によっては、アルマを用いたカバー工法が施工できない場合があります。

カバー工法を検討する際は、まずお近くの施工業者やメーカーの正規代理店に問い合わせ、ご自身の地域でアルマが取り扱い可能かどうかを確認することが重要です。地域によっては、積雪量や気候条件に応じた屋根材の選定基準がありますので、専門家のアドバイスを仰ぐようにしましょう。アルマは積雪量の多い地域では使用できません。

アルマのカバー工法で必要な専用部材はありますか?

アルマのカバー工法を適切に行うためには、専用の付属部材の使用が推奨されています。これには主に以下のものが含まれます。

  • アルマ用シングル釘(手打ち施工用):アスファルトシングルを固定するための専用釘です。
  • アルマ用連結釘:屋根材を固定する際に使用する連結タイプの釘です。
  • アルマ重ね葺き用連結釘:カバー工法で既存屋根材の上に重ね葺きする際に適した連結釘です。
  • アルマ用シングルセメント:屋根材の接着や、板金との取り合い部分の処理に使用するアスファルト系接着剤です。

これらの専用部材を使用することで、アルマ屋根材の性能を最大限に引き出し、適切な防水性や耐久性を確保することができます。また、棟部分には「アルマ同質棟材」や「アルマ同質棟材用棟換気部材」といった専用の棟部材も用意されており、これらを組み合わせることで、統一感のある美しい仕上がりと適切な小屋裏換気を実現できます。

特に棟換気部材は、軒裏換気部材と組み合わせて、住宅金融支援機構の基準に基づく小屋裏換気の構造(吸気口と排気口)とする必要があるため、設計・施工上の注意事項をよく確認することが重要です。

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用はどのくらいですか?

アルマ屋根のカバー工法にかかる費用は、屋根の面積(坪数)、既存屋根材の種類と劣化状況、選定する下葺材や新しい屋根材(アルマ)の色・グレード、そして依頼する施工業者によって大きく変動します。

メーカーが提示しているアルマ本体の標準価格は、900円/枚(税抜)または6,300円/m²(税抜)ですが、これには工事費、運搬費、足場設置費用、既存屋根材の状態に応じた追加費用(下地補修費など)、そして消費税は含まれていません。また、専用のシングル釘やシングルセメント、棟材などの付属部材の費用も別途必要となります。

具体的な費用相場を知るためには、複数の信頼できる業者から詳細な見積もりを取得することが不可欠です。見積もりには、材料費、工事費、諸経費の内訳が明記されているかを確認し、不明な点は必ず質問して納得のいくまで説明を受けるようにしましょう。坪数別の費用目安については、別途詳細な章で解説していますので、そちらもご参照ください。

既存の屋根材がアスファルトシングルの場合でもカバー工法は可能ですか?

はい、既存の屋根材がアスファルトシングルの場合でも、アルマを用いたカバー工法は可能です。しかし、いくつか注意点があります。

提供された施工要領の「重ね葺き(一般地域)」の項目では、既存屋根材がアスファルトシングルの場合について以下の注意が記載されています。

「既存屋根材がアスファルトシングルの場合、既存屋根材の表面状態により、十分な接着が得られない場合があるため、必要に応じて板金、釘などを用いて下葺材を仮留めしてください。

これは、既存のアスファルトシングルの表面が劣化して粒状石が剥がれていたり、平滑性が失われていたりする場合、新しい下葺材(ルーフィング)が十分に密着しない可能性があるためです。このような状況では、接着剤だけでなく、物理的な固定(釘打ちなど)を併用することで、下葺材の浮きや剥がれを防ぎ、防水性を確保する必要があります。

また、既存屋根材にアスベストが含まれているかどうかも確認が必要です。アスベストが含まれている場合でもカバー工法は可能ですが、飛散防止のための適切な処理が求められます。いずれの場合も、専門の屋根工事業者に現地調査を依頼し、既存屋屋根の状態を正確に診断してもらい、最適な施工方法を提案してもらうことが最も重要です。

まとめ

「アルマ」はアスファルトシングル屋根材の一つであり、経年劣化が進んだ際には、既存屋根材を撤去せずに新しい屋根材を重ねるカバー工法が有効な選択肢となります。この工法は、工期短縮や費用面でのメリットが大きい反面、下地の状態によっては施工が不可能な場合もあります。ガルバリウム鋼板や高性能なアスファルトシングルなど、新しい屋根材の特性を理解し、費用相場や信頼できる業者選びのポイントを押さえることが重要です。適切な判断と丁寧な施工により、屋根の寿命を延ばし、住まいの安心を確保しましょう。

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