屋根の漆喰の劣化は目視では確認することが難しく、リフォームの訪問販売の営業マンに「漆喰が剥がれていますよ!」と指摘されて、漆喰の劣化に気がつく人も少なくはありません。 漆喰の劣化は雨漏りの直接的な原因にはなりませんが、放置すると熨斗瓦(棟の瓦)が沈んだり、棟が崩れてしまう原因になり、劣化の初期段階で補修を行う必要があります。 この記事では屋根の漆喰の補修を適切に行うために必要な基礎知識について解説します。 屋根の漆喰の補修が必要な劣化症状や具体的な補修方法など、屋根の漆喰補修に関する基礎知識を総合的にまとめました。
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瓦屋根の漆喰補修が必要な劣化症状
瓦屋根の棟の熨斗瓦は「葺き土」と呼ばれる粘土の土台に乗っています。この棟の熨斗瓦の土台になっている「葺き土」が雨や風で外に流れ出ないように、固定しているのが漆喰です。 漆喰が剥がれてしまうと、「葺き土」が流れ出てしまい、棟が沈んでしまったり、歪んでしまったり、倒壊する恐れがあります。 しかし、雨漏りのような緊急性の高い修理ではなく、劣化状況に応じた適切な補修方法で修理を行うことが重要です。 具体的に瓦屋根の漆喰の劣化症状と対応する補修方法は下記の通りです。| 劣化症状 | 補修方法 |
| 漆喰の変色 | 補修の必要は無し |
| 漆喰の剥がれ | 漆喰詰め直し工事 |
| 漆喰の崩れ | 棟瓦取り直し工事 |
| 鬼瓦の浮き・欠落 | 部分補修工事 |
瓦屋根の漆喰補修工事の種類
屋根の漆喰の補修方法は、漆喰部分を補修する「漆喰の詰め直し工事」と棟全体を補修する「棟取り直し工事」の2種類の修理方法があります。 漆喰が剥がれているだけであれば、「漆喰の詰め直し工事」で補修を行います。 一方、漆喰が剥がれ”屋根土”が大量に流れ出てしまっている場合や、屋根の棟自体が沈んだり、歪んでしまっている場合は「棟の取り直し工事」が行われます。 また、棟の先端にある鬼瓦は”漆喰”で固定されているため、鬼瓦の浮きやズレは部分的に漆喰で固定をします。 このように漆喰補修方法には「漆喰の詰め直し工事」と「棟取り直し工事」の2種類があり、施工価格や施工期間が異なります。 ここからは「漆喰の詰め直し工事」と「棟取り直し工事」の2つの漆喰の補修方法について具体的に解説します。漆喰詰め直し工事
漆喰詰め直し工事は棟の内部の「屋根土(粘土)」が残っていて、棟に”歪み”や”沈み”が発生していない場合に、漆喰だけを補修する工事です。【工程1】既存の漆喰の撤去
既存の漆喰の上から新しく漆喰を詰めてもすぐに剥がれてしまうために、既存の漆喰をキレイに撤去します。
【工程2】漆喰を詰め込む
下地(屋根土)を整えた後で、鶴首という特殊なコテで新しい漆喰を詰めていきます。
漆喰は「ただ詰めれば良い」ということではなく、厚塗りをして手前に来すぎると雨水が侵入してしまうために、高度な技術が必要になります。
【工程3】鬼首漆喰・取り合い漆喰の施工
棟の先端にある鬼瓦の「鬼首漆喰」と、棟の取り合い部分の「取り合い漆喰」を施工して完成です。
棟瓦取り直し工事
棟の取り直し工事は、既存の棟を解体して、再度積み上げる工事です。 棟の内部の屋根土が流れ出てしまい棟が沈んでしまった場合や、地震などの影響で棟全体が歪んでしまったり、倒壊した場合に棟瓦の取り直し工事が施工されます。【工程1】棟瓦と屋根土の撤去
棟瓦と屋根土を撤去します。撤去した瓦は「ひび割れ」や「欠け」などの劣化がない場合、再利用します。
【工程2】漆喰で土台を作る
瓦を撤去したら、漆喰(南蛮漆喰)で棟の土台を作ります。土台となる1段目の熨斗(のし)瓦は耐震対策で銅線で瓦同士や鉄筋を固定します。
【工程3】棟を積み上げる
土台ができたら熨斗瓦を積み上げていきます。熨斗瓦は固定されていないので、耐震性を高めるために銅線やコーキングなどでしっかりと固定します。
【工程4】冠瓦を設置する
最後に棟の上部に冠瓦を設置し、「取り合い漆喰」と「鬼首漆喰」を施工して完成です。
瓦屋根の漆喰補修工事の単価相場
| 工事名 | 単位 | 参考価格 |
| 鬼瓦の部分補修 | ¥4,000/箇所 | ¥4,000 |
| 漆喰詰め直し | ¥8,000/m | ¥200,000 |
| 棟瓦取り直し工事 | ¥18,000/m | ¥450,000 |
| ※施工単価は両面補修を基準に算出 ※棟の長さは25mで算出 ※棟の劣化症状によって費用は変動します。 | ||








