屋根葺き替え工事とは?屋根全体を新しくする工事のメリット・デメリット、費用を徹底解説

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「葺き替え」という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな工事で、費用はどれくらいかかるのか、本当に我が家には必要なのか、疑問に感じていませんか?屋根の「葺き替え」とは、既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しい屋根に作り変える大規模な工事です。この工事は費用が高額になりがちですが、雨漏りの根本解決、家の耐久性・耐震性の向上、そして住まいの寿命を大幅に延ばすという、他の屋根工事では得られない大きなメリットがあります。この記事では、葺き替えの基本的な定義から、他の屋根工事との違い、メリット・デメリット、屋根材の種類、費用相場と内訳、工事の流れ、そしてお得な補助金・助成金制度の活用方法まで、あなたが知りたい情報を徹底的に解説します。この記事を読めば、葺き替え工事の全てを理解し、大切な住まいを長期的に守り、安心して暮らすための最適な選択ができるようになるでしょう。

屋根の「葺き替え」とは?基本的な定義と他の屋根工事との違い

屋根の葺き替え(ふきかえ)とは、既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しく作り直して、新しい屋根材に交換する大規模な屋根リフォーム工事です。屋根の構造体である野地板(のじいた)や防水シート(ルーフィング)といった下地材も必要に応じて補修・交換するため、屋根全体を健全な状態に刷新することができます。

瓦屋根からガルバリウム鋼板へのビフォーアフター

この工事は、単に屋根の見た目を新しくするだけでなく、雨漏りの根本的な解決や住宅全体の耐震性向上といった、住まいの安全性と耐久性を大きく高める効果が期待できます。

葺き替え工事の具体的な内容

葺き替え工事は、屋根の最も内側にある構造部分から外側の仕上げ材まで、屋根を構成するほぼ全ての要素に手を加える工事です。具体的には、以下の工程で進められます。

  1. 足場の設置: 安全かつ効率的な作業のために、建物の周囲に足場を組みます。
  2. 既存屋根材の撤去: 現在の屋根材(瓦、スレート、金属屋根など)を全て取り除きます。
  3. 下地の確認・補修: 既存の防水シートや野地板(屋根材を支える板)の状態を確認し、腐食や劣化があれば補修または交換します。
  4. 新しい防水シートの設置: 新しい防水シートを敷き詰め、雨水の侵入を徹底的に防ぎます。
  5. 新しい屋根材の設置: 選定した新しい屋根材を丁寧に施工します。
  6. 棟板金・役物(やくもの)の設置: 屋根の頂上部分や端部など、雨仕舞い(あまじまい)に必要な部材を取り付けます。
  7. 最終点検・足場の撤去: 全体の仕上がりを確認し、足場を撤去して工事完了です。

この一連の作業により、屋根の防水機能、耐久性、そして美観が飛躍的に向上します。特に、雨漏りが繰り返し発生している場合や、屋根材だけでなく下地まで劣化が進んでいる場合には、葺き替え工事が最も効果的な解決策となります。

葺き替えとカバー工法(重ね葺き)の違い

屋根のリフォーム方法として、葺き替えと並んでよく検討されるのが「カバー工法(重ね葺き)」です。両者は既存の屋根に手を加える点では共通していますが、工事内容と効果には大きな違いがあります。

葺き替えは取り替える
カバー工法は上から被せる

カバー工法は、既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を重ねて設置する工法です。既存の屋根材がまだ下地に問題がなく、軽度の劣化である場合に選択されることが多いです。

比較項目 葺き替え カバー工法(重ね葺き)
工事内容 既存屋根材を全て撤去し、下地から新しく作り直す 既存屋根材の上に新しい屋根材を重ねて設置する
費用相場 高額になりやすい(既存材撤去・処分費がかかるため) 葺き替えより安価(既存材撤去・処分費が不要なため)
工事期間 長くなる傾向がある 比較的短期間で完了する
屋根の軽量化 古い屋根材より軽い屋根材を選べば大幅な軽量化が可能 既存屋根材の上に重ねるため、屋根が重くなる
下地の状態 下地の補修・交換が可能で、雨漏りの根本解決に繋がる 下地の状態が確認しにくく、劣化がひどい場合は不向き
選択できる屋根材 ほぼ全ての屋根材から選択可能 軽量な金属屋根材(ガルバリウム鋼板など)が中心

屋根の下地まで劣化が及んでいる場合や、住宅の耐震性を向上させたい場合は葺き替えが、費用を抑えつつ短期間で屋根をリフレッシュしたい場合はカバー工法が適しています。

葺き替えと屋根塗装の違い

屋根のメンテナンスとして、葺き替えの他に「屋根塗装」もよく行われます。屋根塗装は、屋根材の表面に塗料を塗ることで保護する工事であり、葺き替えとは目的や効果が大きく異なります。

屋根塗装は、屋根材の表面の劣化を防ぎ、美観を回復させるためのメンテナンスです。塗膜が劣化すると、屋根材自体が紫外線や雨風の影響を受けやすくなり、コケやカビの発生、色あせ、ひび割れなどを引き起こします。塗装はこれらの劣化から屋根材を保護し、建物の寿命を延ばす役割があります。

比較項目 葺き替え 屋根塗装
目的 屋根材と下地を刷新し、根本的な防水性・耐久性・耐震性を向上 屋根材の表面保護、美観回復、防水性・遮熱性の付与
効果 屋根全体の機能回復、寿命の大幅な延長、デザイン変更 屋根材の劣化防止、色あせ防止、断熱・遮熱効果の付与
対応できる劣化 屋根材や下地の広範囲な劣化、雨漏りの根本解決 表面的な色あせ、コケ・カビ、軽微なひび割れ
費用相場 高額 比較的安価
工事期間 長期間 短期間

屋根塗装は、屋根材自体の機能が健全で、表面の保護や美観回復が主な目的の場合に選ばれます。しかし、屋根材のひび割れがひどい場合や、下地からの雨漏りが発生している場合は、塗装では解決できず、葺き替えやカバー工法を検討する必要があります。

葺き替えと部分補修の違い

屋根の不具合に対して、ごく一部の損傷を直す「部分補修」という選択肢もあります。葺き替えは屋根全体を対象とする大規模な工事であるのに対し、部分補修は文字通り、特定の破損箇所のみを修理する小規模な工事です。

部分補修は、台風や突風などで瓦が数枚飛んでしまった、棟板金の一部が浮いている、といった限定的な被害に対して行われます。費用や工期を抑えられるメリットがありますが、屋根全体の劣化が進んでいる場合には、根本的な解決にはなりません。

比較項目 葺き替え 部分補修
対象範囲 屋根全体(屋根材、防水シート、野地板など) 特定の破損箇所のみ(瓦の交換、コーキング補修など)
目的 屋根全体の機能回復、寿命延長、根本的な問題解決 緊急的な損傷箇所の修繕、被害の拡大防止
費用相場 高額 安価
工事期間 長期間 短期間(数時間~数日)
効果 長期的な安心感、住宅価値向上 一時的な応急処置、部分的な機能回復

部分補修はあくまで一時的な対応であり、屋根全体の劣化が進んでいる場合は、新たな不具合が別の場所で発生する可能性があります。雨漏りが複数箇所で発生している場合や、築年数が経過し屋根全体の寿命が近づいている場合は、部分補修を繰り返すよりも葺き替えを検討する方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなることも少なくありません。適切な判断のためには、専門業者による屋根全体の詳細な診断が不可欠です。

葺き替え工事のメリットとデメリット

屋根の葺き替え工事は、住まいの安全と快適性を大きく向上させる一方で、費用や工期といった考慮すべき点も存在します。ここでは、葺き替え工事がもたらす主なメリットと、事前に知っておくべきデメリットについて詳しく解説します。

葺き替え工事の主なメリット

葺き替え工事は、屋根全体を新しくすることで、部分的な補修では得られない様々なメリットを享受できます。

耐震性の向上(屋根の軽量化)

葺き替え工事の大きなメリットの一つが、住まいの耐震性向上です。特に、従来の重い屋根材(日本瓦やセメント瓦など)から、軽量な屋根材(ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなど)に交換することで、屋根の重量を大幅に軽減できます。

例えば、一般的な日本瓦の屋根が約5トンであるのに対し、ガルバリウム鋼板の屋根は約0.5トンと、その差は歴然です。屋根が軽くなることで建物の重心が低くなり、地震発生時の揺れを抑え、住まいにかかる負担を軽減することが期待できます。これにより、住宅全体の耐震性が向上し、地震に強い家へと生まれ変わります。

屋根材の変更により、屋根の重さが軽くなるほど、建物の耐震性がアップしていきます。

雨漏りの根本解決と防水性の向上

 

雨漏りが発生している場合、葺き替え工事は根本的な解決策となります。部分的な補修では、目に見えない箇所に原因が残っていたり、別の箇所から再び雨漏りが発生したりするリスクがあります。

割れた瓦の写真

葺き替え工事では、既存の屋根材をすべて撤去し、下地の野地板や防水シート(ルーフィング)も新しくします。これにより、雨水の侵入経路を完全に断ち切り、屋根全体の防水性能を大幅に向上させることが可能です。長期間にわたる安心と快適な暮らしを守る上で、非常に有効な手段と言えるでしょう。

屋根全体の耐久性・寿命の延長

葺き替え工事は、屋根全体を新しい屋根材に交換するため、屋根の耐久性や寿命を大幅に延長することができます。使用する屋根材の種類によって異なりますが、一般的に新しい屋根材は30年以上の耐久性を持つものが多く、一度工事を行えば長期にわたってメンテナンスの手間や費用を削減できる可能性があります。

主要な屋根材の期待寿命を比較すると、以下のようになります。

屋根材の種類 期待寿命の目安
ガルバリウム鋼板 30年~50年
スレート(コロニアル・カラーベスト) 20年~30年(塗装メンテナンス必須)
日本瓦(和瓦) 50年~100年以上
アスファルトシングル 20年~30年

新しい屋根材を選ぶことで、住まいの寿命そのものを延ばし、将来的なメンテナンスコストを抑えることにも繋がります。

新しいデザイン・機能性の導入

屋根の葺き替えは、単に劣化した屋根を直すだけでなく、住まいの外観を大きく刷新するチャンスでもあります。多種多様な屋根材の中から、家のデザインや好みに合わせて自由に選ぶことができるため、新築時とは異なるイメージにすることも可能です。

また、デザイン性だけでなく、機能性の高い屋根材を導入することもできます。例えば、遮熱・断熱性能に優れた屋根材を選ぶことで、夏の暑さや冬の寒さを軽減し、室内の快適性を向上させ、光熱費の削減にも貢献します。さらに、太陽光発電システムの設置を検討している場合は、それに適した屋根材を選ぶことで、将来のエネルギーコスト削減にも繋がるでしょう。

葺き替え工事の主なデメリットと注意点

多くのメリットがある葺き替え工事ですが、一方でデメリットも存在します。これらを理解した上で、ご自身の状況に合った選択をすることが重要です。

費用が高額になりやすい

葺き替え工事の最大のデメリットは、他の屋根工事に比べて費用が高額になりやすい点です。既存の屋根材をすべて撤去・処分する費用、下地(野地板)の補修・新設費用、新しい防水シートや屋根材の費用、そしてそれらの施工費用など、多岐にわたる工程が発生するため、どうしても費用がかさみます。

例えば、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて施工する「カバー工法」や、屋根材の表面を塗り替える「屋根塗装」と比較すると、葺き替え工事は最も費用が高くなる傾向にあります。ただし、長期的な視点で見れば、耐久性の向上やメンテナンスコストの削減により、費用対効果が高い場合もあります。

工事期間が長くなる傾向がある

屋根の葺き替え工事は、既存屋根材の撤去から新しい屋根の設置まで、複数の工程を要するため、工事期間が長くなる傾向があります。一般的な戸建て住宅の場合、工事期間は足場の設置から撤去まで含め、約1週間から2週間程度が目安となります。

工事期間中は、職人の出入りや資材の搬入・搬出があり、日常生活に多少の影響が出ることが考えられます。また、天候に左右されることも多く、雨や強風などにより工事が中断し、予定よりも工期が延びる可能性もあります。工事の進捗状況については、業者と密に連絡を取り、確認するようにしましょう。

騒音やホコリが発生する

葺き替え工事では、既存の屋根材を剥がす作業や、新しい屋根材を加工・設置する作業に伴い、大きな騒音やホコリが発生します。特に、屋根材を撤去する際には、解体音や資材の落下音、トラックの出入りによる音などが発生し、近隣住民の方にご迷惑をおかけする可能性があります。

また、屋根材の切断作業などにより、粉じんやホコリが舞い上がることも考えられます。工事を始める前には、近隣住民の方々へ事前に挨拶を行い、工事内容や期間、騒音・ホコリの発生について説明し、理解と協力を求めることが非常に重要です。業者選びの際には、近隣への配慮をしっかり行ってくれるかどうかも確認しましょう。

葺き替え工事が必要な屋根のサインとタイミング

ご自宅の屋根は、日々の紫外線や雨風、積雪などから家を守る重要な役割を担っています。しかし、時間の経過とともに屋根材は必ず劣化し、適切な時期にメンテナンスをしなければ、雨漏りや建物の構造へのダメージにつながる可能性があります。

ここでは、葺き替え工事を検討すべき屋根の劣化サインと、適切な工事のタイミングについて詳しく解説します。

葺き替えを検討すべき劣化症状

屋根の劣化症状は多岐にわたりますが、特に葺き替えを検討すべき深刻なサインがあります。以下のような症状が見られた場合は、早めに専門業者に相談し、詳細な診断を受けることを強くお勧めします。

雨漏りが発生している

最も深刻かつ緊急性の高いサインが雨漏りです。天井にシミができたり、壁が濡れたり、カビが発生したりしている場合は、屋根材の下にある防水シートや野地板まで劣化が進行している可能性が高く、部分補修では解決が難しいケースがほとんどです。雨漏りは建物の構造材を腐食させ、家の寿命を著しく縮めるため、根本的な解決策として葺き替えが有効です。

屋根材の広範囲な破損や変形

屋根材の種類によって現れる症状は異なりますが、広範囲にわたる破損や変形は葺き替えのサインです。

  • スレート(コロニアル・カラーベスト)の場合:

    ひび割れ、欠け、浮き、反り、コケやカビの大量発生、色あせ、塗膜の剥がれなどが広範囲に見られる場合。特に、屋根材の重なり部分にコケが密集していると、毛細管現象で雨水が内部に浸入しやすくなります。

  • ガルバリウム鋼板の場合:

    サビの発生、塗膜の剥がれ、凹み、穴あきなど。小さなサビであれば補修で対応できることもありますが、広範囲にわたる場合は葺き替えを検討しましょう。

  • 日本瓦(和瓦)の場合:

    瓦の割れ、欠け、ズレ、漆喰(しっくい)の剥がれなど。瓦自体は耐久性が高いですが、下地の劣化や固定の緩みからくるズレは雨漏りの原因となります。

  • セメント瓦・コンクリート瓦の場合:

    表面の塗膜の劣化による色あせ、コケやカビの発生、ひび割れ、欠けなど。吸水性が高いため、塗膜が劣化すると水分を吸い込みやすくなり、凍害などによる破損のリスクが高まります。

  • アスファルトシングルの場合:

    表面の石粒の剥がれ、シートの浮き、めくれ、ひび割れ、苔の発生など。石粒が剥がれると防水性が低下し、屋根材が劣化しやすくなります。

下地の劣化(野地板・防水シートの損傷)

屋根材の下にある野地板(屋根の下地材)や防水シート(ルーフィング)が劣化している場合も、葺き替えが必要なサインです。これらの劣化は表面からは見えにくいため、専門業者による点検で初めて判明することが多いです。

  • 野地板の腐食:

    雨漏りや結露によって野地板が腐食すると、屋根材をしっかりと固定できなくなり、耐震性も低下します。

  • 防水シートの破れ:

    防水シートは屋根材の下で雨水の浸入を防ぐ最後の砦です。経年劣化で破れたり硬化したりすると、防水機能が失われ雨漏りにつながります。

これらの症状は、屋根全体の機能が低下していることを示しており、部分的な修理では根本的な解決にならないことが多いため、葺き替え工事を検討する良い機会となります。

葺き替えの適切な時期と築年数の目安

屋根の葺き替え工事を検討する上で、劣化症状だけでなく、建物の築年数や屋根材の耐用年数も重要な判断基準となります。定期的なメンテナンスを怠らず、適切な時期に葺き替えを行うことで、住まいの安全性と快適性を長く保つことができます

屋根材ごとの一般的な耐用年数

屋根材にはそれぞれ推奨される耐用年数があります。この期間を過ぎると、見た目に大きな問題がなくても、内部の劣化が進んでいる可能性が高まります。

屋根材の種類 一般的な耐用年数 葺き替え検討の目安
スレート(コロニアル・カラーベスト) 20年~30年 築20年を超えたら点検し、劣化が顕著なら検討
ガルバリウム鋼板 25年~40年 築30年を目安に点検し、サビや穴あきがあれば検討
日本瓦(和瓦) 50年以上(半永久的) 瓦自体の劣化は少ないが、下地や漆喰の劣化、ズレがあれば検討
セメント瓦・コンクリート瓦 30年~40年 築25年を超えたら点検し、塗膜劣化やひび割れがあれば検討
アスファルトシングル 20年~30年 築20年を超えたら点検し、石粒の剥がれや浮きがあれば検討

上記の耐用年数はあくまで目安であり、立地環境(日当たり、風雨の影響、周辺の樹木など)やメンテナンス状況によって大きく変動します。例えば、日当たりが悪い場所ではコケやカビが発生しやすく、海沿いでは塩害による金属屋根の劣化が早まることがあります。

築年数20年〜30年が葺き替えを検討する目安

多くの住宅で採用されているスレートやアスファルトシングルといった屋根材は、築20年~30年で耐用年数を迎えることが一般的です。この時期になると、屋根材だけでなく、下地の防水シートや野地板も経年劣化が進んでいる可能性が高く、雨漏りのリスクが増大します。

特に、一度も屋根のメンテナンスをしていない場合は、築20年を過ぎた時点で専門業者による詳細な屋根点検を依頼することをお勧めします。早期に劣化を発見できれば、より費用を抑えた補修で済む場合もありますが、手遅れになる前に葺き替えを検討することで、将来的な大規模修繕のリスクを回避できます。

自然災害後の点検も重要

台風や地震、豪雨などの自然災害が発生した後も、屋根の状態を点検する重要なタイミングです。目に見える被害がなくても、強風で屋根材が浮いたり、地震で瓦がズレたりしていることがあります。

火災保険が適用されるケースもあるため、災害後は必ず専門業者に点検を依頼し、必要に応じて葺き替えを含めた修理を検討しましょう。

葺き替え工事で選べる屋根材の種類と特徴

屋根の葺き替え工事では、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換します。この機会に、住まいの性能や外観を向上させるために、最適な屋根材を選ぶことが重要です。ここでは、主要な屋根材の種類とそれぞれの特徴、メリット・デメリット、費用相場、耐用年数について詳しく解説します。

まずは、主要な屋根材の比較表をご覧ください。それぞれの屋根材の特性を一覧で把握できます。

屋根材の種類 主な特徴 耐用年数 費用相場(㎡あたり)
ガルバリウム鋼板 軽量で耐久性が高く、デザインも豊富。錆びにくく、耐震性に優れる。 25年~40年 7,000円~12,000円
スレート(コロニアル・カラーベスト) 薄い板状で軽量、初期費用が安価。カラーバリエーションが豊富。 20年~30年 5,000円~8,000円
日本瓦(和瓦) 粘土を焼成した伝統的な瓦。重厚感があり、耐久性・断熱性が非常に高い。 50年~100年以上 8,000円~15,000円
セメント瓦・コンクリート瓦 セメントと砂を主原料とした瓦。塗装で様々な色やデザインに対応。 30年~40年 6,000円~10,000円
アスファルトシングル シート状で軽量、防水性が高い。柔軟性があり、複雑な屋根にも施工可能。 20年~30年 6,000円~9,000円

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%の合金でメッキされた鋼板で、近年非常に人気の高い屋根材です。

ガルバリウム鋼板のメリット

  • 軽量で耐震性が高い
    既存の粘土瓦などと比較して非常に軽量なため、建物への負担が少なく、地震の揺れによる影響を軽減し、住まいの耐震性を大幅に向上させることができます。
  • 耐久性・耐食性に優れる
    錆びにくく、穴が開きにくい特性を持つため、長期にわたって美観と機能を維持します。メーカー保証も充実していることが多いです。
  • デザイン・カラーバリエーションが豊富
    現代的なシャープなデザインから、瓦調、石粒付きなど、様々な種類があり、家の外観デザインに合わせて選択できます。
  • メンテナンスが比較的容易
    基本的に塗装の必要がなく、定期的な点検と清掃で長持ちします。

ガルバリウム鋼板のデメリットと注意点

  • 初期費用が比較的高額
    他の屋根材と比較して、初期費用が高くなる傾向があります。しかし、メンテナンス費用を含めたライフサイクルコストで考えると経済的な場合も多いです。
  • 遮音性が低い場合がある
    金属素材のため、雨音が響きやすいというデメリットがあります。ただし、断熱材一体型の製品を選ぶことで遮音性も向上させることが可能です。
  • 傷がつきやすい
    表面に硬いものが当たると傷がつきやすく、そこから錆が発生するリスクがあります。

参考情報として、ガルバリウム鋼板の詳しい特性については、日本金属屋根協会のウェブサイトなどもご参照ください。

スレート(コロニアル・カラーベスト)

スレートは、セメントと繊維を混合して作られた薄い板状の屋根材で、特に「コロニアル」や「カラーベスト」といった商品名で広く知られています。日本の住宅で最も多く採用されている屋根材の一つです。

スレートのメリット

  • 初期費用が安価
    他の屋根材と比較して、導入コストを抑えることができる点が最大の魅力です。
  • 軽量で耐震性に貢献
    瓦屋根などと比べて軽量なため、建物への負担が少なく、耐震性の観点からも有利です。
  • デザイン・カラーバリエーションが豊富
    様々な色や形状があり、家の外観に合わせた選択肢が豊富です。

スレートのデメリットと注意点

  • 定期的な塗装メンテナンスが必要
    約10年ごとに塗装によるメンテナンスが必須となります。塗装を怠ると防水性が低下し、コケやカビの発生、ひび割れなどの劣化が進みます。
  • 割れやすい
    衝撃に弱く、ひび割れや欠けが発生しやすい特性があります。特に積雪や強風の地域では注意が必要です。
  • コケやカビが発生しやすい
    表面の塗膜が劣化すると、吸水性が高まり、コケやカビが発生しやすくなります。

日本瓦(和瓦)

日本瓦は、粘土を高温で焼き固めて作られる伝統的な屋根材で、和風建築に重厚感と風格を与えます。「和瓦」とも呼ばれ、その耐久性の高さから古くから日本の住宅で愛用されてきました。

日本瓦のメリット

  • 非常に高い耐久性・耐用年数
    適切に施工・メンテナンスされていれば、50年~100年以上も持つとされ、「半永久的」とも言われるほどの長寿命が特徴です。
  • 断熱性・遮音性に優れる
    瓦自体に厚みがあり、瓦と屋根下地の間に空気層ができるため、高い断熱効果と遮音効果を発揮します。
  • メンテナンスの手間が少ない
    塗装の必要がなく、部分的な破損であれば一枚単位での交換が可能です。
  • 防火性が高い
    不燃材料である粘土でできているため、火災に強いというメリットもあります。

日本瓦のデメリットと注意点

  • 非常に重く耐震性に影響
    屋根材の中でも最も重量があるため、建物への負担が大きくなります。地震の際には揺れを増幅させる可能性があり、耐震性の低い住宅では葺き替えの際に軽量な屋根材への変更が推奨されることがあります。
  • 初期費用が高額
    製品自体の価格に加え、施工にも専門的な技術が必要なため、初期費用は高くなる傾向にあります。
  • 部分的な割れやズレが発生する
    強い衝撃や経年劣化で瓦が割れたり、地震などでズレたりすることがあります。

セメント瓦・コンクリート瓦

セメント瓦コンクリート瓦は、セメントと砂を主原料として作られた屋根材で、日本瓦のような形状や、平板な形状など様々なデザインがあります。これらは「厚形スレート」と呼ばれることもあります。

セメント瓦・コンクリート瓦のメリット

  • 比較的安価
    日本瓦に比べて初期費用を抑えることができる点が魅力です。
  • デザインの自由度が高い
    塗装によって様々な色や質感を表現できるため、家の外観に合わせた選択が可能です。

セメント瓦・コンクリート瓦のデメリットと注意点

  • 塗装による定期的なメンテナンスが必須
    スレートと同様に、約10年ごとの塗装メンテナンスが不可欠です。塗装が劣化すると吸水性が高まり、コケやカビが発生しやすくなります。
  • 重い
    日本瓦ほどではありませんが、スレートやガルバリウム鋼板に比べて重量があるため、耐震性を考慮する必要があります。
  • ひび割れや欠けが発生する
    経年劣化や衝撃により、ひび割れや欠けが生じることがあります。

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付けて作られたシート状の屋根材です。アメリカやカナダなどで広く普及しており、近年日本でもそのデザイン性や施工性の高さから注目されています。

アスファルトシングルのメリット

  • 軽量で耐震性に貢献
    非常に軽量なため、建物への負担が少なく、耐震性の向上に寄与します。
  • 高い防水性
    アスファルト素材であるため、優れた防水性能を発揮します。
  • 柔軟性があり複雑な屋根にも対応
    シート状で柔軟性があるため、曲線や複雑な形状の屋根にも施工しやすいという特徴があります。

葺き替え工事の費用相場と内訳

屋根の葺き替え工事は、屋根材の撤去から新しい屋根材の設置まで、大規模な工事となるため、費用もそれなりにかかります。ここでは、一般的な費用相場と、その内訳、そして費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。

費用相場の目安

葺き替え工事の費用は、屋根の面積や形状、選ぶ屋根材の種類、既存の屋根材の種類、下地の状態などによって大きく変動します。一般的な住宅(約30坪~40坪程度)の場合、総額で100万円から250万円程度が相場とされています。坪単価で考えると、3万円~8万円/坪が目安となるでしょう。

特に、既存の屋根材が瓦で、新しい屋根材にガルバリウム鋼板を選ぶ場合など、屋根の軽量化を伴うケースでは、下地補強の必要性や、既存屋根材の処分費用によって費用が変動しやすい傾向にあります。

【坪数別】あなたの屋根葺き替え費用は?坪数別の費用目安まとめ

2025-11-07

費用の内訳(足場代、既存屋根材撤去・処分費、下地補修費、防水シート・ルーフィング、新しい屋根材費、施工費など)

葺き替え工事の費用は、様々な項目で構成されています。それぞれの項目について、具体的な内容と費用目安を見ていきましょう。

費用項目 費用目安(1㎡あたり) 備考
足場設置・解体費用 800円~1,500円/㎡(外壁面積) 安全確保のため必須。屋根の勾配や高さによって変動。
既存屋根材撤去費用 1,500円~3,000円/㎡ 屋根材の種類(瓦、スレートなど)によって作業工数が異なる。
既存屋根材処分費用 1,000円~5,000円/㎡ アスベスト含有の有無、屋根材の種類、産業廃棄物処理費用によって大きく変動。
下地(野地板)補修・増し張り費用 2,000円~4,000円/㎡ 既存の下地の劣化状況により、補修か全面張り替えか判断。
防水シート(ルーフィング)設置費用 500円~1,000円/㎡ 防水性能を左右する重要な工程。シートの種類によって費用が異なる。
新しい屋根材費用 2,000円~10,000円/㎡ 選ぶ屋根材(ガルバリウム鋼板、スレート、瓦など)によって大きく変動。
屋根材施工費用 3,000円~8,000円/㎡ 屋根材の種類や形状、職人の手間賃によって変動。
棟板金・役物(やくもの)設置費用 5,000円~15,000円/m 屋根の頂点や端部に使用する部材。
諸経費 工事費用の5%~10% 運搬費、現場管理費、事務手数料など。

特に、既存の屋根材にアスベストが含まれている場合、撤去・処分費用が高額になる傾向があります。これは、特別な飛散防止措置や専門業者による処理が必要となるためです。築年数が古い建物の場合、事前の調査でアスベストの有無を確認することが重要です。

費用を安く抑えるポイント

葺き替え工事は高額になりがちですが、いくつかのポイントを押さえることで費用を抑えることが可能です。

まず、複数業者から相見積もりを取ることは非常に重要です。複数の見積もりを比較することで、適正価格を把握し、不当に高額な請求を避けることができます。見積もり内容の項目や単価を細かく確認し、不明な点は納得いくまで質問しましょう。

次に、国や自治体の補助金・助成金制度を活用することも有効です。地域によっては、耐震改修や省エネ改修の一環として屋根工事に補助金が出る場合があります。これについては、「葺き替え工事に使える補助金・助成金制度」の章で詳しく解説しますので、そちらもご確認ください。

また、火災保険が適用されるケースがないか確認することも大切です。台風や積雪、ひょうなどの自然災害によって屋根が破損した場合、火災保険の「風災補償」などが適用され、工事費用の一部または全額が補償される可能性があります。詳細については、「葺き替え工事に使える補助金・助成金制度」の章で詳しく解説します。

さらに、屋根材選びも費用に大きく影響します。初期費用は安く抑えたいが耐久性も欲しいという場合は、ガルバリウム鋼板やアスファルトシングルといった比較的安価で高性能な屋根材を検討すると良いでしょう。

最後に、工事の閑散期を狙って依頼するという方法もあります。一般的に、夏場や冬場は屋根工事の依頼が減る傾向にあるため、業者によっては割引キャンペーンを実施したり、価格交渉に応じやすくなったりする場合があります。ただし、天候による工事の遅延リスクも考慮する必要があります。

葺き替え工事の具体的な流れと期間

屋根の葺き替え工事は、既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に葺き替える大がかりな工事です。そのため、いくつかの重要な工程を経て行われます。ここでは、工事期間の目安と、具体的な工程について詳しく解説します。

工事期間の目安

葺き替え工事にかかる期間は、屋根の面積や形状、選ぶ屋根材の種類、天候、職人の人数などによって変動しますが、一般的な戸建て住宅の場合、足場の設置から撤去まで含めて1週間から2週間程度が目安となります。

ただし、悪天候が続いたり、既存の屋根下地の劣化が激しく補修に時間がかかったりする場合には、さらに期間が延びる可能性もあります。具体的な工期については、見積もり時に業者に確認し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

一般的な工事期間の目安は以下の通りです。

工程 期間の目安 主な作業内容
足場の設置 1日 作業の安全確保と効率化、飛散防止ネットの設置
既存屋根材の撤去・処分 1~3日 古い屋根材の撤去、下地の清掃、廃棄物の搬出
下地の確認・補修、野地板設置 1~2日 野地板の点検・補修、新しい野地板の設置
防水シート(ルーフィング)設置 1日 野地板の上に防水シートを敷設
新しい屋根材の設置 3~7日 選定した屋根材の取り付け
棟板金・役物設置 1~2日 屋根の端部や接合部の仕上げ
最終点検・足場の撤去 1日 全体的な確認、清掃、足場の解体・搬出

上記はあくまで目安であり、屋根の形状が複雑な場合や、特殊な屋根材を使用する場合などは、さらに時間がかかることがあります。

葺き替え工事の工程

葺き替え工事は、安全かつ確実な施工のために、以下の手順で進められます。各工程の目的と内容を理解することで、工事の進捗状況を把握しやすくなります。

工程1 足場の設置

足場がかけられた家の写真
足場を設置します。トラックが出入りするので注意しましょう。

工程2 瓦の撤去

瓦を撤去した後の写真
既存の屋根材を撤去します。長年の砂や土なども清掃します。

工程3 コンパネの設置

板の貼られた屋根の写真
コンパネと呼ばれる屋根材の土台となる板を設置します。

工程4 防水シート設置

防水シートをかけた屋根の写真
足場を設置します。トラックが出入りするので注意しましょう。

工程5 屋根材の設置

屋根材が設置された状態の写真
新しい屋根材を設置し、最後に点検をします。

工程6 足場の撤去

足場がかけられた家の写真
最後に、足場を撤去したら作業終了です。

葺き替え工事に関するよくある質問

工事中に生活はできる?

葺き替え工事中も、基本的にご自宅での生活は可能です。しかし、工事の性質上、普段通りの生活とは異なる点や、一時的に不便を感じる可能性があることを事前に理解しておくことが大切です。

特に、以下の点にご注意ください。

項目 詳細
騒音・振動 既存の屋根材を撤去したり、新しい屋根材を固定したりする際には、大きな音や振動が発生します。特に日中の作業時間帯(午前9時〜午後5時頃)は、テレビの音や会話が聞き取りにくくなることがあります。
粉塵・ホコリ 古い屋根材の撤去や、新しい屋根材の加工時には、粉塵や細かなゴミが舞い上がることがあります。窓を閉めたり、洗濯物を外に干すのを控えたりするなど、ご自身での対策も必要になります。
作業員の出入り 工事期間中は、複数の作業員が敷地内を出入りします。プライバシーが気になる場合は、事前に業者と相談し、作業動線や休憩場所などを確認しておくと安心です。
足場の設置 安全な作業のために足場が設置されます。これにより、日当たりや風通しが一時的に悪くなることがあります。また、防犯上の観点から、戸締りの徹底や窓の施錠を普段以上に心がけましょう。

小さなお子様がいらっしゃるご家庭や、日中在宅されることが多い方は、工事期間中の過ごし方について、事前に業者とよく相談し、必要に応じて一時的な仮住まいを検討することも選択肢の一つです。

近隣への配慮は?

葺き替え工事は、少なからず近隣住民の方々にご迷惑をおかけする可能性があります。工事を円滑に進め、良好な近隣関係を保つためにも、事前の配慮と適切な対応が非常に重要です。

主に以下の点に注意し、業者と連携して対応を進めましょう。

配慮すべき点 具体的な対策
騒音 屋根材の撤去や設置作業で発生する騒音は避けられません。業者と協力し、工事開始前に近隣の方々へ挨拶を行い、工事期間や作業時間帯を明確に伝えましょう。
粉塵・飛散物 屋根材の破片や粉塵が飛散する可能性があります。業者は養生シートを適切に設置しますが、ご近所の洗濯物や車への影響を考慮し、事前に注意喚起を行うと良いでしょう。
工事車両・資材 工事車両の出入りや資材の搬入・仮置きは、近隣の交通や通行の妨げになることがあります。駐車場所や搬入経路を事前に確認し、通行の妨げにならないよう配慮が必要です。
挨拶回り 工事開始の1週間〜数日前には、施主様と業者が一緒に近隣のお宅へ挨拶に伺うのが一般的です。工事の概要、期間、連絡先などを記した書面を添えると、より丁寧な印象を与えられます。

万が一、工事中に近隣の方から苦情や問い合わせがあった場合は、速やかに業者に連絡し、誠実に対応してもらいましょう。施主様自身も状況を把握し、協力的な姿勢を示すことが大切です。

契約後のキャンセルは可能?

葺き替え工事の契約後にキャンセルを希望する場合、その可否や費用については、契約内容や状況によって大きく異なります

契約書をよく確認し、不明な点があれば速やかに業者に相談することが重要です。

ケース 詳細
クーリングオフ制度の適用 訪問販売など、特定の販売形態で契約した場合、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約を解除できる「クーリングオフ制度」が適用される可能性があります。ただし、自分から業者を呼び寄せた場合や、店舗での契約など、適用外となるケースもありますので、詳細は国民生活センターのウェブサイトなどで確認してください。
自己都合によるキャンセル クーリングオフ期間を過ぎてから、お客様の都合でキャンセルする場合、契約書に記載されたキャンセル料(違約金)が発生するのが一般的です。キャンセル料の金額は、工事の進行状況(資材の発注済み、足場設置済みなど)によって変動し、高額になることもあります。
業者都合によるキャンセル 業者の都合で工事が中止になった場合、施主側に費用負担は発生しません。ただし、これは稀なケースです。

契約後のキャンセルは、原則としてキャンセル料が発生するリスクがあることを認識しておきましょう。もしキャンセルを検討する場合は、できるだけ早く業者に連絡し、書面でキャンセルの意思を伝え、費用について確認することが肝心です。口頭でのやり取りだけではトラブルの原因となる可能性があります。

まとめ

屋根の「葺き替え」は、既存の屋根材をすべて撤去し、下地から新しい屋根を構築する、住まいにとって非常に重要な大規模リフォーム工事です。単なる表面的な修繕とは異なり、雨漏りの根本的な解決、耐震性の向上(屋根の軽量化)、屋根全体の耐久性・寿命の延長、そして住まいのデザインや機能性の刷新といった多岐にわたるメリットをもたらします。

確かに、カバー工法や屋根塗装と比較して費用が高額になりやすく、工事期間も長くなる傾向にあります。しかし、長期的な視点で見れば、住まいの資産価値向上、そして何よりも家族が安心して暮らせる安全な住環境を確保するための、有効な投資と言えるでしょう。

屋根のひび割れ、色あせ、コケの発生、雨漏りといった劣化症状が見られる場合や、築年数が経過している場合は、葺き替えを検討する適切なタイミングかもしれません。ガルバリウム鋼板、スレート(コロニアル・カラーベスト)、日本瓦など、様々な屋根材の中からご自身の住まいに最適なものを選び、信頼できる専門業者に相談することが、成功への第一歩となります。

複数の業者から相見積もりを取り、施工実績や保証内容、担当者の対応などを総合的に判断し、安心して任せられる業者を選びましょう。また、国や自治体の補助金・助成金制度や火災保険が適用されるケースもあるため、費用負担を軽減するためにも積極的に情報を収集し活用を検討することが重要です。

葺き替え工事は、費用や期間、工程など検討すべき点が多いからこそ、本記事で解説した情報を参考に、ご自身の状況に合わせた最適な判断を下し、大切な住まいを長く快適に保つための一歩を踏み出してください。

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